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2020 年度 実施状況報告書

現代共和主義教育理論の探求―市民性教育を中心に

研究課題

研究課題/領域番号 19K02399
研究機関九州大学

研究代表者

蓮見 二郎  九州大学, 法学研究院, 准教授 (40532437)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード共和主義 / シティズンシップ教育 / 自由 / 複数性
研究実績の概要

当初の研究計画では、2020年度中にA. Peterson教授を招聘し、我が国で共和主義に基づく教育理論とシティズンシップ教育について研究会を開催する計画であった。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の世界的拡大の影響で、日英間での渡航が事実上不可能となったことから、2020年度の本科学研究費助成事業による研究は、基礎理論の研究を中心に進めることとなった。
具体的に2020年度に実現したのは、「投票と共通善―投票先の規範理論」についての執筆を進め、11月に政治研究会で報告し批判を受けた後、2021年3月に公刊された『政治研究』誌上に公表を行った。本論文は、市民的共和主義者を中心に展開している公共善への投票という規範を基本的に受け入れつつも、共通善概念を多元化することを通じて、共和主義の新たな理解を目指したものである。
本研究の意義・重要性としては、第一に市民的共和主義の理論について、投票という具体的場面における「共通善」概念を通じて、批判的な検討を行い、新たな可能性を引き出したことである。第二に、シティズンシップ教育・主権者教育の理論への発展の可能性がある。「共通善」が一定の条件の下で模擬投票等の参照基準となるのであるとすれば、その具体的な教育の在り方はどうあるべきかについて、今後焦点化して研究することが可能となった。第三に、カトリック神学など宗教に基づいた「共通善」理解に対抗して、世俗の議論としての「共通善」概念の在り方を提示したという意義がある。第四に、近代の投票制度においては自明のものとされてきた自由選挙の理念について、批判的に検討する契機を提示したことである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナウイルス感染症の世界的影響で国際的な研究会が開催できず、また、英国からの研究者の招聘ができなかった点で、本科学研究費助成事業研究課題の進捗はやや遅れていると言わざるを得ない。しかしながら、それを代替するための基礎理論の研究は着実に進んでおり、若干の遅れはそれによって相殺できている。

今後の研究の推進方策

本科学研究費助成事業によって計画していた国際共同研究の在り方は、この新型コロナウイルス感染症の世界的な影響によって大きく見直す必要に迫られている。そのため、必要に応じて、本研究課題を延長することも検討している。しかしながら、共和主義の教育理論とそのシティズンシップ教育への含意の探求という点での理論的研究は、今後も着実に進めることが可能であると考えている。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染症の世界的蔓延によって、計画していた国内・海外出張や英国からの研究者招聘と研究会の開催が不可能となったため、次年度使用額が生じた。今後の使用計画としては、対面での研究会に替わるオンラインでの研究会の開催、基礎理論研究を着実に進めるための図書の購入や論文の取り寄せなどを考えている。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 投票と共通善:投票先の規範理論2021

    • 著者名/発表者名
      蓮見二郎
    • 雑誌名

      政治研究

      巻: 68 ページ: 1-22

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 投票と共通善:投票先の規範理論2020

    • 著者名/発表者名
      蓮見二郎
    • 学会等名
      政治研究会

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公開日: 2021-12-27  

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