研究課題/領域番号 |
19K02399
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
蓮見 二郎 九州大学, 法学研究院, 教授 (40532437)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 市民的共和主義 / 模擬投票 / 共通善 |
研究実績の概要 |
2022年度についても2020年度・2021年度と同様に新型コロナウイルスの影響で、本科学研究費助成金研究課題として当初計画していた国際共同研究や国際会議の開催などについては、全面的に見直す必要が生じてしまった。 そこで、本年度の研究としては、市民的共和主義の教育哲学的研究として、前年度に引き続き、以下の2点を中心に進めた。 (1)市民的共和主義の教育理論の理論的基盤の解明を進めること。マイケル・サンデルの共和主義について、近年の著作を中心に「共通善」の捉え方とそのための市民のあり様についてテキストを分析した。 (2)市民的共和主義の教育理論の実践的かつ具体的な提案として、主権者教育としての模擬投票のあり方について検討を行った論文を公刊した(「シティズンシップ教育研究の政治学への貢献:『模擬投票における振り返り』の検討を通じて」『シティズンシップ教育研究』第2号)。 なお、この(1)と(2)とが密接に関連したものであることについては、(2)の論文において提示した通りである。 (3)ウクライナ問題に触発されて、5月には日本シティズンシップ教育学会緊急特別講座「ウクライナ問題を教室で語らうとすれば」に登壇し、政治学の立場からこの問題に可能なシティズンシップ教育の提案を行った。また、12月には日本シティズンシップ教育学会第3回大会において、平和教育の観点からシティズンシップ教育の可能性と課題とについて批判的に検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの影響で、海外との行き来が極めて難しくなり、英国の研究者と国際会議を開催しての国際共同研究を行うことができなくなってしまったため。
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今後の研究の推進方策 |
今後も、新型コロナウイルスの影響により海外渡航については相当期間難しい状況が継続することが見込まれるため、国際会議の開催や国際共同研究については大幅に見直す必要が生じている。そのため、引き続き、国内専門学会を中心とした場で研究者・実践者からの批判を受けることにより、市民的共和主義の教育理論についての研究を少しでも着実に進める方針である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、新型コロナウイルスの影響により、当初計画していた英国からの研究者を招聘しての国際会議の開催などが全く実施できなかったためである。 使用計画としては、おおよそ、政治学関連資料60万円、教育学関連資料60万円、旅費50万円、RA雇用費50万円を考えている。
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