研究課題/領域番号 |
19K02402
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
森 久佳 大阪市立大学, 大学院文学研究科, 准教授 (00413287)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 教師教育 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、教職における長時間勤務・多忙化と生活時間の貧困化の改善を図りつつ、専門職としての教職の専門性の高度化とwell-being の向上とを同時に果たしながら、チームとしての学校づくりを効果的に展開することに資する研究的知見を創出・提示することである。 2019年度の本研究の具体的な目的は、①教職における専門性の高度化と教師のwell-being(以下WB)の向上に関する国内外の研究動向の精査、②OECDフォーラム(パリ)等への参加を通した研究動向の把握、③我が国における教職の働き方改革の動向の整理・分析、であった。研究成果の概要は以下の通りである。 まず、WBの定義は主として「快楽主義的伝統(hedonic)」と「幸福主義的伝統(eudaimonic)」の流れに大別され、これらの伝統的な潮流を踏まえた上で、均衡/恒常性の概念WBの汎用的な定義として有用だと考えられている。 また、OECDは2011年より、WBを国際的に計測するより「良い暮らしイニシアチブ(Better Life Initiative)」プロジェクト(以下、BLI)を展開し、人々が自分の生活をどのように考え、感じているかという「主観的幸福(subjective well-being)」の概念を重視している。 そして今日、教師のWBが教師の仕事の質や生徒の成果への影響と深く関係しているため、教師のWBを保障することは教育の将来にとって非常に重要であるとの認識が国際的に広まってきている。OECDも教師(教員)のWBと質の高い教育実践の両立を打ち出し、学校内外にまたがる国家的規模から教室での実践といった大小の状況を構造的・体系的な観点からWBを検討しており、さらなる研究の展開が期待されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の計画のうち、①教職における専門性の高度化と教師のwell-beingの向上に関する国内外の研究動向の精査を行うこと、及び、③我が国における教職の働き方改革の動向の整理・分析を、関連諸文献等を収集して行うこと、に関しては、書籍や文献等を一定程度収集・検討することができ、教職とwell-beingに関する国内外の研究動向を把握することを当初の研究計画通りに実施することができた。 また、上記の活動の一環として計画していた、②OECDフォーラム(パリ)や等に参加して研究動向の把握等に努めることも、実際に現地に訪問することができ、国際的な研究動向を把握することができた。 以上のことから、2019年度の研究活動はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度では、チームとしての学校教育実践を展開している具体的な学校教育現場の状況の把握するために、調査対象校を選定し、そこに定期的に訪問し、参与観察及び管理職を含む教員等にインタビュー調査等を実施する予定である。 しかしながら、昨年度末からの国際的なCOVID-19による諸々の影響のため、わが国の学校教育現場は未曾有の混乱状況に陥っており、本研究による調査が困難なことも予想される。そのため、本研究の目的を達成しうる新たな研究アプローチを並行して案出した上で、状況に応じて柔軟に対応したいと考えている。
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