研究課題/領域番号 |
19K02402
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
森 久佳 大阪市立大学, 大学院文学研究科, 准教授 (00413287)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 教師教育 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、教職における長時間勤務・多忙化と生活時間の貧困化の改善を図りつつ、専門職としての教職の専門性の高度化とwell-being の向上とを同時に果たしながら、チームとしての学校づくりを効果的に展開することに資する研究的知見を創出・提示することである。2020年度は、チームとしての学校教育実践を展開している具体的な学校教育現場の状況の把握する調査等を実施する予定だったが、昨年度末からのCOVID-19によるパンデミックのため、こうした調査の実施は困難だと判断した。そのため、本研究の目的を達成しうる新たな研究アプローチとして、COVID-19の影響によって顕在化した国内外の学校教育の教育・福祉的機能について、well-beingの観点から整理・検討することに今年度の研究活動の目的を切り替えた。その結果、これまでの慣習や常識を世界的規模で激変させたCOVID-19によるパンデミックは、教員の多忙化やカリキュラム・オーバーロードといった諸課題を一層深刻にさせたこと、また、学ぶ・教える内容・方法を吟味する側面に加えて、生活・生命の安全を保障する場としての学校とそこに直接関わる教師の存在意義、さらには「教育」という事象その自体の根本的な再考を迫るものだった点を見出した。さらには、こうしたコロナ禍によって一層顕在化した教育と福祉の連携をめぐる学校と教員のジレンマに対して、SDGsとそこで重視されているウェルビーイング(Well-being)やレジリエンス(resilience)の考え方が、世界的規模で注目を浴びている点も明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
教職における専門性の高度化と教師のwell-beingの向上に関する国内外の研究動向の精査を行うこと、また、我が国における教職の働き方改革の動向の整理・分析を、関連諸文献等を収集して行うこと、に関しては、COVID-19の影響を鑑みながら、書籍や文献等を一定程度収集・検討することができ、教職とwell-beingに関する国内外の研究動向を把握することをさらに進めることができた。一方で、OECDフォーラムへの参加や本年度の研究活動として予定していた学校訪問調査については、COVID-19の影響により実施できなかった。以上の点を踏まえると、現在までの進捗状況は、当初の研究計画の観点からするとやや遅れていると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
学校訪問調査の実施が困難な場合は、それに代わる研究アプローチとして、教師(教員)個人に対してライフ・ヒストリーないしライフ・ストーリーの観点も交えた質的なインタビューを実施することによって、教師well-beingの実相の解明に迫る方策を構想している。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス(COVID-19)の影響により、当初予定していたパリで開催予定だったOECDフォーラムが中止となり、参加できなくなったこと、また、各種学会等がオンラインによる開催となったため、旅費が不要であったこと、さらには、学校訪問調査も実施することができなかったため、謝金等が不要であったため。
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