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2020 年度 実施状況報告書

いじめ重大事態調査「第三者委員会」の浸透と限界

研究課題

研究課題/領域番号 19K02406
研究機関日本女子大学

研究代表者

坂田 仰  日本女子大学, 教職教育開発センター, 教授 (70287811)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワードいじめ防止対策推進法 / いじめの定義 / いじめ裁判 / いじめ重大事態 / 第三者委員会
研究実績の概要

研究2年目に当たる2020年度は,アンケート調査の分析と裁判例の収集,分析を中心に研究を進めた。
まず,アンケート調査については,新型コロナ問題がもたらした学校現場への影響を受け新規の調査が実施出来なかったことから,2019年度に実施した調査の分析を集中的に行った。管理職と生徒指導担当教員を対象に実施したアンケート調査を分析したところ,いじめ防止対策推進法が定める「いじめの定義」の認知度は,管理職(校長・教頭)で98.2%,その他教員で84.0%,「いじめの重大事態」については,管理職は98.3%,その他教員では66.7%に止まっていることが明らかとなった。この結果から,調査の対象となった範囲においてという限定が付されるものの,2013年のいじめ防止対策推進法の施行から既に8年近くが経過したが,同法の学校現場への浸透は未だ十分とは言い難く,特に「いじめの重大事態」についてはその定義すら理解できていない管理職等が一定数存在することが課題となると言える。
一方,いじめに関わる裁判例の分析に関わっては,近年,いじめ防止対策推進法の存在,個別規定に言及する例が増加していることが明らかとなった。文部科学省の「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」では,「重大事態の調査は,民事・刑事上の責任追及やその他の争訟等への対応を直接の目的とするものではなく,学校の設置者及び学校が事実に向き合うことで,事案の全容解明,当該事態への対処や,同種の事態の発生防止を図るものである」とする。しかし,その理念の当否は別として,現実問題としては「第三者委員会」が行ういじめ重大事態調査や作成する報告書が裁判と不可分の状況におかれる可能性が高いことを示唆するものと評価出来るだろう。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

裁判例の収集,分析は順調に進んだものの,新型コロナウイルス問題がもたらした学校現場の混乱,多忙化を受けて,2020年度に予定していたアンケート調査並びにヒアリング調査の実施に大きな困難が生じた。

今後の研究の推進方策

今後の研究については,新型コロナ問題の与える学校現場の状況により左右される部分が大きく,不透明な部分が多分に存在する。しかし,現時点においては大凡以下のように考えている。
第一に,これまで収集したいじめに関する裁判例の分析をより精緻化し,裁判法理の抽出,同定に努める。
第二に,新型コロナ問題の影響で未実施となっているアンケート調査を優先的に実施する。
第三に,やはり新型コロナ問題の影響で未実施となっている教育委員会関係者に対するヒアリング調査の実施に努める。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナ問題の影響により計画していた調査の実施支障が生じた。2021年度において,調査範囲を拡張し,延期していた調査を実施していく予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] いじめ防止対策推進法の学校現場への浸透と課題-A市における教員の認識を中心に-2021

    • 著者名/発表者名
      坂田仰,山田知代
    • 雑誌名

      日本女子大学教職教育開発センター年報

      巻: 7号 ページ: 27-34頁

  • [雑誌論文] いじめ対応に関する説明責任2020

    • 著者名/発表者名
      坂田仰
    • 雑誌名

      教職研修

      巻: 573 ページ: 48-49頁

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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