本研究の意義は、従来の教員養成史研究の対象や分析枠組みに欠けがちであった観点から日本における教員養成の理念・制度を捉えなおした点にある。従来の教員養成研究の多くは時間や空間の断絶、区分が意識されていたのに対し、本研究はむしろその連続性を重視した。ただし、既存の区分をすべて取り払おうとするものではなく、それらを下敷きにしながら必要に応じて思考の越境を行うものであった。 独自の視点から日本の教員養成に関する具体的な知見を提示するだけにとどまらず、従来の教員養成研究の分析枠組みに対する再考と新たな議論の展開を促す学術的な波及効果が期待される点も本研究の意義と言える。
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