研究課題/領域番号 |
19K02412
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研究機関 | 美作大学 |
研究代表者 |
遠藤 健治 美作大学, 生活科学部, 教授 (50288031)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 戦前京都府 / 私立学校 / 小学校教員検定制度 |
研究実績の概要 |
申請書において、2019年度に計画していた戦前京都府において私立学校が小学校教員養成を認可された①法的な根拠、②カリキュラムや教員の資格などの基準、③手続きなどの解明については、京都府立京都学歴彩館、京都府立図書館などを中心として史料を収集し、その整理を進めた。もっとも、これらの成果を学会発表や学術論文として公表するまでには至らなかった。 ただし、その代わりとして、2021年度に計画していた①無試験検定(一部試験)および臨時試験検定試験問題の科目および程度、②合否判定基準の解明については、その着手が比較的容易であることから、先行して①関西教育学会第71回大会(2019年11月16日、於関西学院大学)において「戦前京都府における臨時試験検定の実施過程と『実地授業』の位置づけ――尋常小学校本科正教員免許状の場合――」、②中国四国教育学会第71回大会(2019年12月1日、於松山大学)において「戦前京都府における臨時試験検定『教育科』の分析――尋常小学校本科正教員免許状の場合――」、③中国四国教育学会編『教育学研究紀要』65(2020年3月刊)において「尋常小学校本科正教員臨時試験検定教育科試験問題の分析――1920年代末期から1930年代初期における京都府を事例として――」として公表した。また、①については、2019年度中には未刊行であったが、すでに関西教育学会編『関西教育学会年報』43に同題名で投稿済であり、2020年度には掲載予定である。そして、これら研究成果により、私立学校卒業生がいかなる臨時試験検定の実施過程により小学校教員免許状を取得したのか、またその際に求められた小学校教員としての「教養」の一端を解明することができた。 なお、上記と並行して、成安女子学院に関する史料調査のため、京都産業大学付属高校および成安造形大学を訪問し、事前の相談、打ち合わせを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度が本研究課題の初年度であることから、現在までの進捗状況は、上記研究実績の概要とほぼ同様である。 もっとも、2019年度に計画していた戦前京都府において私立学校が小学校教員養成を認可された①法的な根拠、②カリキュラムや教員の資格などの基準、③手続きなどの解明については、予想以上に史料の残存状況が厳しいこともあり、今後、史料調査をさらに進める必要がある。具体的には、成安女子学院に関する史料調査がこれに該当する。ただし、コロナウィルスの影響のため難航が予想される。そのため、現時点では、すでに収集した史料を活用して、その公表方法を探るほかはない。 なお、上記のような状況とはいえ、年度計画を入れ替えて、比較的着手が容易な2021年度に計画していた①無試験検定(一部試験)および臨時試験検定試験問題の科目および程度、②合否判定基準の解明について取り組み、成果も公表することができたことから、本研究課題の進捗状況が大きく遅れているとまでは言えないと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
コロナウィルスの影響のため、京都府における史料調査については大きく制限され、これに伴い、研究計画についても大幅な変更が余儀なくされると予想される。 そのため、すでに史料の収集、整理が済んでおり、比較的着手が容易な2021年度に計画していた①無試験検定(一部試験)および臨時試験検定試験問題の科目および程度、②合否判定基準の解明について、2019年度から引き続き、先行してその成果を公表し、2020年度中には完了したい。具体的な成果公表の機会としては、関西教育学会第72回大会、中国四国教育学会第72回大会での学会発表および投稿を予定しているが、やはりこれら大会もコロナウィルスの影響のために開催されるかは未定である。その際は、改めて代替措置を検討する必要が生じると考えられる。 また、2022年度に計画していた私立学校卒業生の①性別、年齢、出身地などの属性、②履修状況と在学中の成績、③保護者の職業などの属性の解明についても、史料の収集は終了していることから、その整理を急ぎ、先行してその成果を公表し、これについても2020年度、もしくは2021年度の完了をめざしたい。具体的には日本教育史研究会編『日本教育史研究』40への投稿、もしくは教育史学会第64回大会での発表をめざしたい。 なお、私立学校における「教職課程」で使用された教科用図書に関する一覧表の作成、および古本屋などをつうじた購入は、在宅でもインターネットを利用することにより可能であることから、上記計画と並行して進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウィルスの影響により、京都府調査の旅費、あるいはその他として使用することができなかったため、使用額に残余が生じた。来年度においては、コロナウィルスの状況に鑑みながら、改めて旅費、あるいはその他として使用したい。
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