本研究の最終年度である2023年度は、日本大学生物資源科学部教職課程編『教職課程紀要』第7号において、①「京都市立美術工芸学校絵画科、図案科新卒者への小学校教員無試験検定による小学校図画専科正教員免許状の授与に関する史料」、②「1930年代の京都府における「小学校教員無試験検定認定校」の認可過程に関する試論―京都府立京都学・歴彩館および旧認定校における史料調査の可能性を探る―」という2本の論稿を発表した。 とくに後者は、全国地方教育史学会第46回大会において行った口頭発表を下敷きとするものであった。 さて、これら2本の論稿は、いずれも小学校教員検定をとおして間接的に小学校教員養成を行った私立学校の認可過程に言及するものであり、本研究期間中、すでに明らかにしている私立学校が小学校教員養成を認可された法的な根拠、私立学校が小学校教員養成を認可されたカリキュラムや教員の資格などの基準の解明とともに、「私立学校は、いかにして小学校教員養成を認可されたのか」という問題意識に基づく研究成果であった。 こうした研究成果により、本研究は、2019年度から2023年度に至るまでの5年間において、ほかにも「私立学校は、いかにして小学校教員養成を認可されたのか」、「私立学校卒業生は、いかなる試験問題により小学校教員免許状を取得したのか」、「小学校教員免許状を取得した私立学校卒業生とは誰か」という問題意識に基づく研究成果とあわせ、合計11本の論稿をあらわすことができた。
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