本研究は、戦前日本における私立学校による小学校教員養成に注目し、私立学校(大学)による小学校教員養成が戦後教員養成の二大原則、すなわち「開放制の教員養成」の原則と「大学における教員養成」の原則により開始されたとする学界の「常識」を問い直した。その結果、戦前日本における直接的な小学校教員養成機関であった師範学校の一方で、「小学校教員無試験検定認定校」、「小学校臨時試験検定認定校」など私立学校は、その卒業生に対し、中等教員検定制度における指定学校や許可学校と同様、無試験検定、あるいは臨時試験検定受検の特典が付与され、小学校教員検定制度をとおし、間接的に小学校教員を養成した事実を明らかにした。
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