研究課題/領域番号 |
19K02416
|
研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
深作 拓郎 弘前大学, 教育学部, 講師 (40389804)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 子どもの参画 / 放課後 / 遊び / 社会教育 / こどものまち |
研究実績の概要 |
本研究は、概ね15歳~18歳の「高校生世代」と概ね18歳~22歳を中心とする「大学生世代」を対象に、彼らが地域社会を舞台に取り組む活動を検証し、主体的な参加と継続的な活動を可能とする原動力を明らかにすることが目的である。 これまでの調査から、中高校生世代の地域参加活動促進の要因として、「役割を見いだす」「試行錯誤できる」「何でも言える対等な関係性」「自分たちのペースで展開できる」「異年齢交流が促進される」というポイントがあることを明らかにした。自分たちで知恵やアイデアを出し合い、一つひとつ課題をクリアして実践を創りあげていっている。「学び/学習」の枠におしこめるのではなく「遊び」のなかでおこなえることの豊かさをもたらしている。まさしく、「学びのコミュニティ」を自らの手で具体化していることが示唆された。 2022年度は、青森県弘前市を拠点に実施している「こどものまちミニひろさき」での中高校生世代、大学生世代の活動を調査対象とし、中高校生世代、大学生世代による話し合い活動や小学生へのサポート活動への参与観察とインタビュー調査を行った。 インタビュー調査からは、「考えて実践できる」「楽しい」「遊び」の3つがワードとして抽出された。これらを解析した結果、①一人の人として承認されていること、②それを踏まえて平等性が担保されていること、③自分で責任をとることができること、これらが要因としてあることが示唆された。また、「不思議な関係」というワードについては、学校や地域での固定化された人間関係から切り離され「自分らしい自分で居られる」ことを示唆するものと考えられた。 今年度も調査を継続していくことで、①必然的ではない多様性と同質性の同居、②責任が課せられないが当事者性が生まれる要因、③目的的ではない遊びがもつ効用、④少人数であることの積極的意味、について分析を深めていきたい。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
弘前以外の調査対象団体は、活動の中止あるいは外部との接触を極力減らすなどの措置を講じられており、計画通りに進まなかった。 今年度は、活動再開する団体も多い模様だが「3年間のブランク」が彼らの活動にどう影響を及ぼしているのかを見極めながら、最終年度の調査を進めていきたい。
|
今後の研究の推進方策 |
青森県弘前市での参与観察とインタビューで得られたデータの解析と検討を進めていく。その他の調査先については、担当者と調整を図り、可能なところからフィールドワークを再開させていきたい。高校生・大学生世代の彼らが、地域参加への継続性をはじめ、子ども観や遊び観をどのように見出しているのか、その過程をフィールドワークから検証していく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、新型コロナウイルスの感染拡大により、2020・21年度に計画していた調査がほとんどできなかったからである。 2022年度はほぼ計画どおりに調査が実施できた。1年延長し、調査と分析作業を継続することで本研究の成果をより良いものにしていく。そのための、調査のための旅費、ヒアリングデータの文字お越し作業や資料整理に必要な謝金、分析に必要な事務用品で執行する計画である。
|