本研究の目的は、教師が自身の子ども理解・授業に関する見方を深化させていくことを促す授業研究の方法について、上田薫の授業研究論や研究方法に着目して明らかにすることである。教師の人間理解を重視した上田が、どのような視点から授業をとらえたか,どのような記録・資料を重視したかに着目して、上田の授業研究論を考察した。上田は、子どもを多面的に把握することや、教師の計画の変更の過程を明らかにすることに重点を置いている。また、上田の授業研究論を具体化した方法としての「カルテ」に着目し、その記録としての特質や、その活用を通しての教師の成長・自己変革の論理を明らかにした。
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