研究課題/領域番号 |
19K02420
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
小野瀬 善行 宇都宮大学, 教育学部, 准教授 (50457735)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 教員資格認定制度 / アメリカ合衆国 / 高等教育法改正法 |
研究実績の概要 |
本年度は、本研究の初年度であり、関係する資料収集及び成果報告の一部を行った。 成果については、2000年以降のアメリカ合衆国連邦政府の教員資格認定制度に関する施策の特質について、高等教育法改正法を手がかりに分析を行った。とりわけ1998年、2008年の同法改正時において教員の資格認定基準や認定ルートの多様化がどのように規定されたのか、さらに最近の改正に向けてのいかなる議論がなされているのか、それらを確認することによって、NCLB法制下からオバマ政権以降の連邦政府による教員資格認定制度に関する施策を整理することとした。 その結果、教員養成や教員資格認定プログラムに対して連邦政府の役割や資金的な援助をどのようにするのかが論点であること、教員養成及び教員資格認定プログラムについては、高等教育の文脈ではなく初等中等教育の文脈で語られることになったこと、以上のことを明らかにすることができた。あわせて、このような動向が1980年代以降から通底している高等教育機関の専門性や自律性によって教員養成及び教員資格認定プログラムが運営されるのではなく、初等中等教育において「効果的な」教授を行える教員養成及び教員資格認定プログラムが評価される(補助金交付の対象となる)という事態について明らかにすることができた。 今年度は、連邦法の分析に留まってしまったので、次年度以降は、特徴的な州法や各州における高等教育システム関連法制を分析しながら、教育学主専攻の改廃と大学内のガバナンス変容について分析をさらに進めていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究の対象国であるアメリカ合衆国をはじめとする世界各国における新型コロナウィルスの感染流行に鑑み、今年度に実施予定であった、現地における資料収集やインタビュー調査を行うことができなかったために研究の進捗に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、学士課程における教育学主専攻の廃止を法律で定めた州を事例とするが、2年目にあたる2020年度は、昨年調査がかなわなかったテキサス州における調査を行い、関連法案の成立過程に関する一次資料の収集、法案の成立により大学のカリキュラムがどのように変化したのかについて一次資料の収集、当時の関係者へのインタビュー調査等を実施することとする。2020年度においても、その基本的な方針に変更はないものの、新型コロナウィルスの流行状況を見定めつつ、現地調査の可能性を探りながら資料収集を行っていきたい。 また、新型コロナウィルス感染症予防のために、研究代表者が所属する学会大会も2020年の秋口まで中止が決定している。そのような中で本研究の研究経過とその時点での成果についてどのように報告するのか調整が必要となるが、オンラインの研究会や学会大会などの機会を捕まえて他研究者と積極的に研究協力を行うようにしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症の世界的な流行に鑑み、予定していた渡米調査を延期したことにより、主に旅費の執行を十全に行うことができなかったため。
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