本研究は、潜在的教職参入者を対象とした進路選択行動に焦点をあてた実証分析を行うことで、教職の労働条件(給与水準、生徒教員比、労働時間、教員の業務範囲等)が教員供給における量と質に与える影響を評価し、今後の教員政策の政策選択の指針を得ることを企図したものである。教職選択を促す政策的要因について実証分析を行い、教職に必要とされる能力の同定に依存する部分が大きいものの、相対給与水準・労働時間の改善により、認知的・非認知的能力双方の面で高水準である層の教職志望率が一定程度上昇するという結果を得た。また、労働環境の帰結の分析に際して、因果推論における非従来的な識別戦略を拡張・適用した。
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