本研究の学術的意義は、婦人教育/男女共同参画政策そのものが内包するジェンダー・ポリティクスに注目した点にある。学校教育から疎外されてきた女性にとって、社会教育は重要な学習機会であったが、国家にとって「のぞましい女性像」をあてはめる側面と、性差別に気付き、変革を目指そうとする女性解放のツールとしての側面を有しており、この両者の思惑が交錯する政策領域として捉えられるという研究視角である。1960年代、地方における婦人学級の実践は、「婦人の民主化」のための話し合い学習・共同学習という当初の文部省や社会教育指導者の思惑からやや離れて展開していたことが明らかになった。
|