研究課題/領域番号 |
19K02427
|
研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
今村 光章 岐阜大学, 教育学部, 教授 (10300120)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 環境教育 / 環境倫理 / 自然保護 |
研究実績の概要 |
環境倫理学研究を進めるために、日本における環境教育の源流のひとつとされる公害教育研究の研究者として、公害教育の歴史的意義を振り返る。宮本憲一や藤岡貞彦、安藤聡彦らの研究を再検討した。また、林美帆や高田研らの論考を踏まえて、現実的な公害教育がどのような課題を有しているのかについて明らかにし、公害教育の教育的意義について考察し、環境教育学の構築に向けた示唆を得た。同時に、都市の環境問題について、今後どのようにアプローチするのかについて考察した。公害問題を踏まえ、都市化がすすむ社会のなかで、環境問題とは何なのかを環境倫理学の立場からとらえ直す作業をすすめている。 副次的に、自然体験教育に関する研究の一部としての幼児期の自然体験教育に関する実証的な研究も行なった。昨今では、地球環境問題を解決し、持続可能な社会を構築することは国際的な喫緊の課題である。そのためには、環境教育および「持続可能な開発のための教育」を幼児期(3-6歳)の環境教育、とりわけ、自然体験教育の実証的効果に関する実証主義的研究を実施し、幼児期の環境教育の重要性を確認した。とりわけ、自然体験が幼児の体力に対する影響、自然物に関する知識に関する影響、自然を大切にしたいという気持ちに対する影響について、実証的に把握する。さらに、卒園後の小学校1-3年生において、何らかの違いがあるかどうかについてもあきらかにしつつある。森のようちえん活動を実施している園について、その園での活動が実際にどの程度効果的であるのかについて、体力面、知力面、その後の効果について実証する計画を立てている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、環境教育の理論に関する基礎的な文献研究である。そのため、すぐさま、論文で公表できる結果が出るわけではない。だが、地道に基礎研究を続けている。主として公害教育や自然保護教育といった日本の環境教育の源流を跡付ける文献研究であるため、斬新な成果や、明日から役に立つ環境教育の方法論にはつながらないが、日本型の環境教育の基礎を確認することができている。
|
今後の研究の推進方策 |
子どもと自然とのかかわり方についての教えと学びに関する教育人間学的研究を行う予定である。文化化・都市化された人間生活のなかにで、埋没して見えにくくはなっているが、理念型環境教育に先立つかたちで、脈々と受け継がれてきた「既存型環境教育」が存在する。この「既存型環境教育」、すなわち、すでに人間の営みのなかにある「教えと学び」を再発見し再評価することで、環境教育、および「持続可能な開発のための教育」をさらに充実させる基盤的研究を行う。また、海外の環境教育理論の検討を行う。
|