研究課題/領域番号 |
19K02430
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研究機関 | 鳴門教育大学 |
研究代表者 |
石坂 広樹 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (20537493)
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研究分担者 |
島田 健太郎 開志専門職大学, 事業創造学部, 助手 (90829178)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 教育分権 / 学校運営 |
研究実績の概要 |
本年度も昨年度同様にコロナ禍ということもあり海外での調査が不可能となった。そのため、文献研究を中心として進めた結果、日本・イギリス・アメリカの3か国の教育行財政に関する比較研究を行い研究論文に取りまとめることができた。 研究成果としては、日本と比較して、アメリカやイギリスは、学校裁量権限が相対的に強く、これは教育行政との関係を意味し、学校内部では校長単独で責任を担うよりも教員や学校運営協議会と責任共有する体制を構築しており、学校内部での意思決定は日本の方が校長単独に集中している傾向があることが分かった。 また、本研究では中央政府、地方政府、学校と区域的領域へ権限が分散した状態について、PISA2015 の学校調査データを用いた分析を行った。教員雇用、学校予算、教育課程の意思決定の実態につて、学校と教育行政、学校内部関係者間での責任分担の状況から「学校が自律的であること」を考察した。アメリカ、イギリスの実態との比較から、本稿は日本の義務教育段階の公立学校に与えられている裁量は、教員雇用、学校予算において、相対的に少なく、教育課程の決定においては、学校裁量がアメリカやイギリスと同じ程度に多いことを確認した。しかし、一方で日本の学校は、学校裁量の多寡にかかわらず、学校内における校長の権限が強いことが見て取れた。行政からみて「自律的」であっても、学校内部の運営実態は校長主導の運営に偏っており、これは学校内部での意思決定過程の不透明性や他の教職員、保護者、そして学生らの意見が反映しにくい状況を示唆し、効果的に自律的な運営をする上での障害となる可能性があることも分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ禍のため、海外での調査が一切進まない状態にある。 他方、文献研究や遠隔での調査を検討中であり、来年度は対処する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、コロナ禍であっても実施可能な研究を実施していくこととする。 ①文献研究により、より階層的・分野別での教育分権の現状について比較研究を行っていく。 ②遠隔で可能な現地調査を模索し、数か国において実施する。具体的には、現地での情報収集(教育省・教育事務所・学校)、インタビュー(教育省職員・教育事務所職員・学校教職員など)などを実施していく。 ③また、コロナ禍による教育分権・学校運営への影響などについても別途調査項目を設け上述の研究に追加をしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍における海外出張ができないことで使途が実質的に制限されたため、繰り越しとなった。なお、次年度には遠隔調査による使用も予定しておるため、適切な支出が可能になると考えている。具体的な対応策は以下の通りである。 ①文献研究により、より階層的・分野別での教育分権の現状について比較研究を行っていく(書籍購入など物品費・国内での共同研究者との協議のための旅費などで対応)。 ②遠隔で可能な現地調査を模索し、数か国において実施する。具体的には、現地での情報収集(教育省・教育事務所・学校)、インタビュー(教育省職員・教育事務所職員・学校教職員など)などを実施していく(現地の調査補助・通訳による業務を人件費・謝金などで支出)。 ③また、コロナ禍による教育分権・学校運営への影響などについても別途調査項目を設け上述の研究に追加をしていく(現地の調査補助・通訳による業務を人件費・謝金などで支出)。
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