研究課題/領域番号 |
19K02442
|
研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
佐藤 仁 福岡大学, 人文学部, 教授 (30432701)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 教員養成 / アメリカ / 専門職基準 / アクレディテーション |
研究実績の概要 |
本年度は、特にワシントン州の専門職基準の策定実態についての研究を進めた。ワシントン州には、昨年度に明らかにしたように、文化的能力に特化した専門職基準が存在している。この専門職基準は、2021年に改訂されているが、専門職基準の内容的方向性が明確でありながら、内容を教員養成機関が解釈できる余地がある点が特徴として明らかになった。また文化的能力基準を適用した教員養成機関の事例を分析したところ、教員養成機関内部でのカリキュラム改正を進める際の「拠り所」として専門職基準が機能しており、自律的に活用する実態を確認することができた。 アクレディテーションの実態に関しては、現地調査ができなかったこともあり、十分な分析を進めることができていない。そのため、本年度はコロナ禍で進められているアメリカの教員養成政策の動向を掴むことを試みた。コロナ禍によって教員不足が深刻化する中で、アメリカでは教員を確保する方策として、教員レジデンシーの拡充や、登録養成訓練制度の導入などを進めている。特に、登録養成訓練制度については、教育補助者として学校現場で働きながら教員免許の取得を同時に行うものであり、新たな教員養成の形となる。そのため、教員レジデンシーや登録養成訓練制度に基づく教員養成の質の保証が問題なることが推測できる。こうした様々な教員養成に対して、アクレディテーションがどのように対応しようとしているのかという点に関しても、標準化を検討する新たな研究課題として明らかになった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、専門職基準に関しては、一定程度の実態を解明することができたが、昨年度と同様に新型コロナの影響でアクレディテーションに関する現地調査を行うことができなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は、現地調査も可能となることから、アクレディテーションの実態に関する現地調査を行う予定である。その際、アクレディテーションによって標準化が進められているのか、それとも教員養成機関の自律性が確保されているのかという点を中心に、教員養成機関の関係者やアクレディテーションの関係者へのインタビューを行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響により、アメリカでの現地調査が実施できなかったことや、成果発表の場がオンラインとなったことにより、特に旅費に関する支出がなくなった。次年度は、アメリカでの現地調査を実施するとともに、学会での報告を積極的に行っていく予定である。
|