学術的意義としては、これまで研究史上で言及されることの少なかった戦後日本の民間教育研究団体の知見を、現代道徳教育論の俎上にのせた点をあげることができる。研究史上では、それら民間団体による「道徳の時間」批判ばかりが注目されていたが、批判とともに提示されていたオルタナティブな道徳教育の知見を発掘し、現代の教育学のなかに位置づけることができた。 また社会的意義としては、こうした知見を一般誌や学校現場でのワークショップ等で紹介することで、現代の実践的な道徳教育の課題解決に一定の貢献ができた点をあげることができる。子どもの自主性や生活性に根ざした道徳教育論の端緒を開くことができたと考える。
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