研究課題
本研究は、インクルーシブ教育の先駆的取り組みの一つであるイエナ・プランに着目し、その鍵概念の一つとなる「混合(ミッシュング)」の要因を調べ、それを日本におけるインクルーシブ教育システムの充実へと効果的に応用するための基盤づくりを目指している。本研究は、文献・資料の研究とドイツ等のイエナ・プラン校の現地調査とから構成されている。2021年度も新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、現地調査を実施できなかった。2020年度と同様に文献・資料のみの研究となったが、2021年9月11日から13日にかけてオンラインで行われた国際会議(The 45th World Education Fellowship Tokyo International Conference)で研究成果の一部を発表し、海外の研究者と「混合(ミッシュング)」をめぐって意見交換をする機会を得た。発表では、特に次の2点に言及した。まず第一に、2020年度の研究をさらに展開し、「同質性からの出発」としてのインクルージョンと、「異質性からの出発」としてのイエナ・プランの差異を明確化した。それによってイエナ・プランは、「同質性からの出発」から「異質性からの出発」への価値転換を図る示唆に富んだ取り組みであることを指摘した。第二に、学校教育における「混合(ミッシュング)」が、学校生活の「構造的」な変革をもたらすことを示した。イエナ・プランにおける「混合(ミッシュング)」は、教育改革の重荷を教師に負わせるだけの安易な考え方を脱却し、真に多様な社会を目指そうとする現代人、教育関係者の重要な羅針盤となることを指摘した。
3: やや遅れている
研究実績の概要にも示したように、2021年度においても、新型コロナウイルス感染症の影響が続き、当初予定していたドイツ現地のイエナ・プラン実施校におけるインクルーシブ教育に関する情報・資料収集が実施できなかったため。
新型コロナウイルス感染症の感染状況を見据えつつ、文献・資料の研究に加えて、国内外の資料収集及び現地調査の実施について検討し、今後の研究計画についても必要に応じて修正を行いつつ、当初の研究目的の達成へと近づけるべく善処する。
研究実績の概要に示したように、2020年度及び2021年度において、当初予定していたドイツ現地のイエナ・プラン実施校におけるインクルーシブ教育に関する情報・資料収集が新型コロナウイルス感染症の影響により実施できなかったため、次年度使用額が生じた。感染状況を見据えつつ、文献・資料の研究に加えて、国内外の資料収集及び現地調査の実施について検討し、今後の研究計画についても必要に応じて修正を行いつつ、当初の研究目的の達成へと近づけるべく使用計画を策定する所存である。
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New World of Education. Journal of WEF Japan Section, No. 70, Special Issue.
巻: No. 70, Special Issue ページ: 77-78, 157-158