研究課題/領域番号 |
19K02462
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
佐藤 隆之 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (60288032)
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研究分担者 |
宮本 健市郎 関西学院大学, 教育学部, 教授 (50229887)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 愛国心教育 / ダイバーシティ / アメリカ新教育 / プロジェクト / 忠誠の誓い / リクリエーション運動 |
研究実績の概要 |
研究代表者は、ニューヨークにある私立学校における、1910年代から1920年代の「忠誠の誓い」の儀式を取り入れた市民性プロジェクトに関する考察を論文にした(「市民性プロジェクトによるアメリカ化と多様性の教育―忠誠に関わる儀式・行事に注目して―」早稲田大学教育・総合科学学術院『学術研究─人文科学・社会科学編─』第69号」)。主体性や自発性を重視するプロジェクト活動において愛国の精神を教えるという実践を対象として、愛国心とダイバーシティの理論的関係を解明した。また、アメリカ教育思想のダイバーシティ概念を、アメリカにおける自由概念の観点から検討した。公的空間において多数性を複数性へと高めることで、愛国とダイバーシティを調和的に関係づけうる教育理論について考察した。 研究分担者は、今年度の成果を、「アメリカの公立学校における国旗掲揚儀式の普及とダイバーシティ教育の起源」と題する発表にまとめた(関西学院大学教育学会、2021年3月5日開催)。公立学校における国旗掲揚と国旗忠誠の儀式に着目して、①それが、いつ、なぜ、普及したのか、②それは、ダイバーシティ教育(自国と他国、自己と他者を等しく尊重し、相互的な関係を築ける人間の育成を目指す教育)を可能にしたのか、あるいは、不可能にしたのか、といったことを論じた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍で予定していた海外での調査ができなかったため。しかし、本科研はこれまでに研究代表者と研究協力者が継続してきた研究の延長線上で行っているため、必要最低限の史資料は既に入手できている。それを有効活用して、最終年度に成果を最大限あげられるように努めたい。
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今後の研究の推進方策 |
研究代表者は、2020年度に考察した実践を引き続き検討する。この実践は、第二次世界大戦が勃発する1940年代に行った文化間教育運動を背景に新たな局面を迎えることになる。これを中心に愛国心教育と民主主義についてさらに理解を深める。 研究分担者は、2020年度の論考をさらに発展させ、国旗忠誠儀式による愛国心教育は市民性教育と言えるのかについて検討する。可能なら、進歩主義教育運動のなかで、スポーツや演劇などの課外活動や社会教育が広がってダイバーシティ教育の再発見されたところまで描くことも視野に入れる。 2021年度は最終年度なので、二人の研究を総合して成果を報告書として公表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で海外出張ができなかったため。
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