研究課題/領域番号 |
19K02463
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研究機関 | 京都女子大学 |
研究代表者 |
村井 尚子 京都女子大学, 発達教育学部, 教授 (90411454)
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研究分担者 |
坂田 哲人 大妻女子大学, 家政学部, 講師 (70571884)
阿部 直美 京都女子大学, 教職支援センター, 特任教授 (00411455)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | リフレクション / オランダ / 教師教育 / 保育者の専門性向上 / 現象学的教育学 / アラクトモデル |
研究実績の概要 |
現職保育者と教師の専門性の向上に資する教育実践のリフレクションの取り組みとその手法の改善を行った。4月13日、14日に京都女子大学、5月29日に佐渡市、6月6日に甲府市、9月5日に大津市、11月1日、2日に佐渡市、12月26日、27日に甲府市に研究協力者との研究会を行うとともに、現職保育者へのインタビュー、保育の参与観察を実施した。また、教育現場で働く卒業生を中心とした研究会を2月8日に開催した。 現時点での研究の成果を5月5日の日本保育学会第72回大会においてポスター発表「日々の成長につながる保育実践のリフレクションの探究」を行うと共に自主シンポジウム「日々の実践を基とした人材育成と組織づくりのあり方」を開催した。 12月7日に山形県東北文教短期大学で行われた乳幼児教育学会第29回大会にて「継続的なリフレクションの取り組みと保育者の省察性(リフレクティブネス)との関連性」を共同発表した。さらにその成果を広く社会に還元するために、1月11日に大妻女子大学にて「保育リフレクション研究会」を開催した。会場には保育関係者30名あまりが参加され、これまでの研究の成果を発表するとともに、関係者からの熱心な討議がなされた。 理論面では、教師の専門性をパトス概念において読み解き、「教育の営みにおけるパトス的な質」を『京都女子大学発達教育学部紀要』にて発表した。さらに、「Key pedagogical insights during phenomenology instruction」をノルウェー王国で行われた人間科学研究国際会議にて発表し、「記述を通した授業実践のリフレクションの可能性の検討」として一般社団法人全国私立大学教職課程協会編集委員会編『教師教育研究』32号に査読付き論文として掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年年度は、研究協力先への訪問も頻回に行い、調査データの収集も順調に実施できた。しかし、2020年度に入ってから新型コロナ感染症感染拡大の影響を受けて、実地研究が難しい状況である。ただし、感情と身体の側面からのリフレクションの理論的探究は文献研究において進められている。
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今後の研究の推進方策 |
甲府市および佐渡市への移動が可能になり次第、保育現場での実地研究を再開するとともに、引き続き調査データの収集に努め、現場におけるリフレクションと専門性の向上の関係を実証的に研究していく。また、上述したように、リフレクションの理論的背景の文献を読み解き、実践的な研究結果を理論的に検証し固めていく作業を引き続き行う。さらに、保育のリフレクションを実践していきたいと考えている現職保育者、現職教師ならびに、リフレクションに興味を持つ読者に向けて、比較的読みやすい入門書を刊行予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究データの分析のために購入予定であったパソコン一式の予算を2019年度内に執行できなかったため、2020年度に購入し、定量データおよびインタビュー記録の分析を行う。また、2020年2月から3月にかけて実施予定であった海外のリフレクションの調査が新型コロナウイルス感染拡大のために実施できなかった。状況が落ち着き次第、海外調査を再開予定である。 さらに、2020年度は保育関係者に向けて研究成果を発表する書籍を執筆刊行する計画を立てており、このために必要な調査、資料収集に使用する。
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