研究課題/領域番号 |
19K02464
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研究機関 | 京都ノートルダム女子大学 |
研究代表者 |
古庵 晶子 京都ノートルダム女子大学, 現代人間学部, 准教授 (90639337)
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研究分担者 |
竹川 佳成 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 准教授 (60467678)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 高齢者 / ピアノ学習 / 視線移動 / 運指 |
研究実績の概要 |
ピアノ学習が、高齢者の生きがいとなる趣味の選択肢のひとつとなって久しい。高齢者のピアノ学習における最たるつまずきとは、演奏途中で頻繁に演奏が止まるということであることが、過去に行った研究代表者のピアノ指導者たちへの調査から明らかとなった。演奏が止まる理由として、一般的に良しとされる運指方法と、楽譜‐鍵盤間の必要以上の視線移動が考えられることに着目し、本研究では、高齢ピアノ学習者の高齢学習者のピアノ学習における意識調査(質問紙)と、演奏時の視線計測調査を行う計画を立てた。 2019年度は、①対象者50名以上への質問紙調査、②対象者約7名前後への2回にわたる視線移動計測とインタビュー、の2つを実施する予定であったが、研究倫理審査において時間を要したこと、その他対象者の都合もあり、現時点では52名の高齢ピアノ学習者に①を実施したのみにとどまっている。この調査の9問の設問のうち、「ピアノ演奏において、どのような失敗をしてしまうか」、「なぜ演奏が止まるのか」、「つまずきに思っていることは何か」、「学習上気になることは何か」、「学習上大事なことは何か」、の5つに絞って分析を進めている最中である。そして、どの質問に対する答えも、「譜面が覚えられないこと」、「指が動かないこと」、「集中力の欠如」など、加齢による心身の衰えを訴えており、またそれに甘んじてピアノを楽しみ、出来るだけ学習を継続したいと思っている姿が浮かび上がってきている。 この分析を進めたあと必要なのは、過去に行ったピアノ指導者への調査結果と照合することと、その結果を高齢者の演奏の状態と照合することである。高齢ピアノ学習者のつまずきと現状をより明確にすることは、そのあと予定している視線移動計測調査の必要性をより高めることになろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究倫理審査の大幅な遅れとCOVID-19(新型コロナウイルス)の蔓延の、2つの大きな理由によって、一つ目の調査である質問紙調査の時期が大幅に遅れた。そのことで1年目に予定していた、主とする視線計測調査がまだ出来ていないため。
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今後の研究の推進方策 |
未実施となっている高齢ピアノ学習者への視線計測調査は、「対象者たちの既知曲」の演奏において、どのような状況で演奏が止まるのかを記録するためのものと、「止まりやすいと推測される要素から成る楽譜」の演奏において、どのような状況で演奏が止まるのかを記録するもの、の2点である。そのため2020年度中には是非実施したいと考えている。 最終的には、これらの計測調査結果によって、「止まりにくい楽譜」の作成が目的であるので、詳細な分析をする時間を確保しなければならないが、2020年度内に予定している、(比較対象としての)ピアノ演奏の苦手な若年層に対する視線移動計測調査も、2020年度中に実施できるかどうかを検討しながら研究を進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度である2019年度は、研究の遅れからで主体となる実験を行うことが全くできなかった。そのため、実験に関わる費用が2020年度に加わる。また、必要に応じて実験のやり直しによる謝礼金の再支払や、実験機器の故障や不具合による再購入もしくは修理、実験方法の変更など不測の事態による出費などが考えられるため、予算を多く準備しておきたい。
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