研究課題/領域番号 |
19K02467
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研究機関 | 国立教育政策研究所 |
研究代表者 |
森 政之 国立教育政策研究所, 文教施設研究センター, フェロー (70362324)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 普通教室 / 教室の広さ / 学習形態の多様化 / 学習環境評価 / 物的学習環境 |
研究実績の概要 |
本研究では、中学校普通教室について、学習形態ごとに物的学習環境(広さ、収納状況など)と教員の主観的評価(満足度など)との関係性を分析し、さらに、それらの分析結果を統合して学習形態の多様化に対する普通教室の対応性について総合的に考察することにより、広さについて実証的に検証することを目的としている。 令和元年度は、「(1)文献調査及び予備調査」「(2)国内訪問調査、海外訪問調査」に取り組んだ。(1)としては、中学校の学習環境についての国内外の文献調査を行い、物的学習環境に関わる具体的な調査項目についての検討を行い、予備調査を実施するための調査票を作成した。調査項目の検討では、昨年に文部科学省の新たな施策として公表されたGIGAスクール構想にも注目し、12月13日に閣議決定された令和元年度補正予算案において、児童生徒向けの1人1台端末と、高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備するための経費が盛り込まれたことも踏まえ、調査項目についての精査を行った。 次に、(2)としては、海外訪問調査の準備として、国際的にも著名な英国、仏国、豪州の学校建築分野の研究者の訪日機会をとらえ、当該研究者達から海外の中学校における学習環境の整備状況や研究の動向について情報収集を行った。また、11月20日に東京工業大学で開催された「学校建築国際シンポジウム-効果的な学習環境とは? : 未来へ向けた教育と空間-」(主催:OECD-GNEELE、文部科学省、国立教育政策研究所、東京工業大学教育施設環境研究センター)のパネルディスカッションにパネリストとして参加し、学習空間のデザインについて意見交換をを行った。 引き続き、国内外の中学校施設の整備状況や研究動向についての情報収集を行いつつ、研究実施計画に基づき調査票調査の実施、収集したデータの分析、結果の考察を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画していた研究内容は「(1)文献調査及び予備調査」「(2)国内訪問調査、海外訪問調査」である。(1)については、中学校の学習環境についての国内外の文献調査を実施し、具体的な調査項目についての検討を行い、予備調査を実施するための調査票を作成することができた。しかしながら、予定していた予備調査の実施については、2月頃からの全国的な学校の休校などの状況変化により調査対象校の選定に進むことができず、実施することができなかった。 (2)については、英国、仏国、豪州の学校建築分野の研究者達から海外の中学校における学習環境の整備状況や研究の動向について情報収集を行うことができた。また、国際シンポジウムに参加し学習空間のデザインについて意見交換を行うことができた。 以上、(1)については予備調査に遅れが見られ、(2)についてはおおむね計画通りに研究が進んでいることから、全体としては、研究の進捗はやや遅れていると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、研究実施計画に沿って、「(1)予備調査の実施」「(2)本調査の実施及び結果の分析」「(3)普通教室の対応性についての実証的検証 」を進める。(1)については、全国的な休校などの状況が改善されれば、速やかに予備調査の対象校を選定し、すでに作成した調査票により予備調査を実施することとする。状況の改善に更に時間を要することが見込まれる場合は、研究代表者が過去に実施した学習空間に関する調査票調査の内容と今回作成した予備調査の調査票の内容を比較分析するなどして本調査の調査内容の検討等に生かすこととする。 (2)については、(1)の成果を踏まえて全国的な調査票調査を実施し収集したデータについて分析を行うこととする。(3)については、(2)の成果や国内外の中学校への訪問調査の結果、国際比較を通じて実証的な検証を行うこととする。
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次年度使用額が生じた理由 |
2月頃からの全国的な学校の休校などの状況変化があったことから、調査票調査の予備調査を実施できず、また、国内外の中学校への訪問調査も実施できなかった。全国的・世界的な学校の休校が解消されていけば、予備調査の実施や国内外の中学校への訪問調査を次年度に行うことに支障はない。実施が見送られてきた予備調査や訪問調査を次年度に追加して行うために必要なものとして、次年度使用額を物品費、旅費などに充てる計画である。
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