研究課題/領域番号 |
19K02468
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
浅川 和幸 北海道大学, 教育学研究院, 教授 (30250400)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 教育学 / 新たな中等教育原理 / 地方発参加型教育実践 / 地域学習 / 地域アイデンティティ / 高校生議会 / 総合的な探究の時間 |
研究実績の概要 |
本科学研究事業の研究課題は「人口減少時代における地方発参加型教育実践の比較研究による新しい中等教育原理の探究」である。これを実証研究として遂行するための研究方法として、2つの類型の比較研究を採用している。 第1類型は、「地域アイデンティティ」の形成を狙いとした「地域学習」の効果に関する研究である。前年度の研究実績でも記述したが、2020年度は「コロナ禍」の影響もあり、現地調査を伴わない形でのアンケート調査の分析から、この類型の検討を行った。しかし、今年度は、追加研究ができなかった。 第2類型は、地方発参加型教育実践の研究である。2020年度は緊急事態宣言の発出されていない時期に、幾つかの機関調査が可能となっただけであった。しかし、2021年度はふたつの実態調査を進めることができた。 第1に、北海道十勝総合振興局管内の池田町の道立池田高校と池田町役場・議会の連携で行われている「池田町高校議会」の見学と実践後に参加した生徒へのアンケート調査である。これについては、現在ほぼ分析を終了し、近々報告書の形で両主体(高校側と議会側)に還元可能となっている。 第2に、同じく十勝総合振興局管内の鹿追町の道立鹿追高校と鹿追町役場・議会の連携で行われている「鹿追町高校生議会」の関係主体(高校・担当教諭、教育委員会、議会事務局)の調査と高校生議会の見学、さらに実践後に参加した生徒へのアンケート調査である。これについては、まだ分析に手がついていない。 科学研究事業の当初計画年度は3年間で2021年度に完結予定であった。しかし、2020年度は「コロナ禍」の影響で肝心の生徒に関する調査を全く進めることができなかった。しかし、2021年度はやっと調査の実施とデータの集積が可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度には「コロナ禍」による実態調査のほぼ全面的な停止と、最も中心的な研究課題である生徒の参加型教育実践による意識変化を検証するための調査データの入手が不可能であった。このため、研究は休眠状況を強いられた。 幸いなことに2021年度は幾つかの制限はありつつも、ふたつの地域における参加型教育実践の事例「高校生議会実践」の検討(生徒調査を含む)が可能となった。しかしながら、これは2020年度の遅れを取り戻し、かつ2021年度のまとめまでを可能とするものではなかった。 そのため2020年度1年度分の遅れが、そのまま影響した形で研究の進捗は1年遅れとなっている。それで「やや遅れている」を選択した。
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今後の研究の推進方策 |
当初の3年間で研究の完遂ができず、2022年度に1年度延長を申請した。 幸いなことに2021年度は、「コロナ禍」による幾つかの制限はありつつも、ふたつの地域における参加型教育実践の事例「高校生議会実践」の検討(生徒調査を含む)が可能となった。現在、このふたつの町の「高校生議会実践」の検討ととりまとめ作業にかかっている。今年度の後半は、これらを受けて研究課題、とりわけ中等教育が地方自治との連携によって、生徒にどのような意識(地域の担い手としての意識とそれを越える質)を育み得るのかについて研究成果をとりまとめて、事業の完成としたいと考えている。これも「コロナ禍」との状況次第ではあるが、オンラインでの学会発表も含めて、成果を公表する機会もつくりたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度に「コロナ禍」による実態調査のほぼ全面的な停止と、最も中心的な研究課題である生徒の参加型教育実践による意識変化を検証するための調査データの入手が不可能であった。このため、研究は休眠状況を強いられた。これが、2021年度に玉突きの形で、次年度使用額が生じ、延長の申請をお願いした次第である。 本年度は、追加的な「高校生議会実践」に関わる調査をひとつ加えることで、地域的な差(十勝総合振興局管内であること)のバイアスの有無についての確認を行う。 また、現在作成中の「池田町高校生議会」実践の報告書の作成と、資料収集を終えた「鹿追町高校生議会」の報告書の作成、そしてこれらをまとめ比較を行った総合的な報告(年度末の北海道教育学会での報告を念頭においている)を行うことを予定している。
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