コロナ禍による社会の停滞に伴って研究を進めることが困難となり、深刻な作業の停滞に苦しめられた事業期間であった。具体的には予備校・高等学校への部外者の立ち入りが厳しく制限されたため資料調査を実施することができず、同時に関係者(高齢者がほとんどを占める)への聞き取りも自粛せざるを得なかった。図書・新聞・雑誌等による調査は可能な限り実施したものの、核心である学校保存文書や関係者のコメントに接することができない中では、研究実施計画の実施は不可能であった。 仮にこのまま基金を持ち越して2023年度以降に事業期間を延長する場合であっても、社会情勢が急激に変化して社会が一足飛びにコロナ前に戻るということは考えにくく、短くても1~2年、場合によってはそれ以上にわたり、先の見えない期間延長を繰り返さなくてはならないと思われる。もちろん分析視覚や研究方法は適切であると考えるので、この際はいったん事業を終了させて原資を税金に仰ぐ基金は返戻、改めて社会情勢を見ながら再度の申請を行うことにした。 研究代表者としては大変に不本意であるが、これは当該研究の失敗、あるいは研究遂行の断念ではない。むしろコロナ禍という不測の事態により、改めて仕切り直して再度の申請から出発させるために前向きな判断を行ったのである。2023年度からは所属先も変わり、研究遂行に申し分のない環境に身を置くことができることもあり、再起を期したい。
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