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2019 年度 実施状況報告書

教育スタンダード達成と自律学習を両立させる中等学校像ー南ドイツの「社会的な学校」

研究課題

研究課題/領域番号 19K02475
研究機関京都教育大学

研究代表者

榊原 禎宏  京都教育大学, 教育学部, 教授 (90215616)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワードドイツ / 中等教育 / 社会的な学校 / 共同学校 / スタンダード / 自律
研究実績の概要

2019年度はフィールドにさせてもらっている中等学校(Gemeinschaftsschule)に訪問、ドイツの他の州における「共同学校」に関する調査を行って比較の視点を得たほか、関係資料の渉猟と分析、考察を日本とドイツで進めることができた。現地調査では、州の定める「教育プラン(学習指導要領)」に示される目標のコンピテンスに即して、各授業が行われていることが確認できたほか、生徒の状況に応じた教科書の使い分けや個別指導の様子を見ることができた。ただし、その一方で、生徒の自律学習を支える活動日誌(Logbuch)は必ずしも有効に活用されておらず、学習速度が緩やかな生徒への支援が十分ではないことも伺えた。

限られた調査と関係資料からは、教育スタンダードの達成を目指す活動と、生徒それぞれの自律的な学習を促し、自身で学力達成を図ることの両立を掲げる「社会的な学校」(「共同学校」)の理念が、全面的に実現されているとはまだ言えない状況である。また、文献研究からは、同学校への政治的文脈を伴う批判の強まりが見られ、基礎学校修了後の中等学校として「共同学校」を選択する保護者が減少傾向にあることが伺われる。また、現在の教員不足という全般的傾向を背景に、学校種を跨ぐ教員の異動が行われているが、他の学校種から「共同学校」に替わった教員が感じる困難も指摘されている。

学校教育法に設置上の根拠を持ち、現在の連立政権の政策合意としても存続が確認されている「共同学校」ではあるものの、社会的な支持をいっそう得なければ、資源の投入を含めた存続が困難になってくるかもしれない。この点で、とりわけ10年生修了後の教育修了資格(Mittlere Reife)に達する生徒の割合、さらにはギムナジウム上級段階にどれほどの生徒が進学するかが、いっそう問われる状況に同校は置かれている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

現地調査および関係資料の収集がおおむねできており、「社会的な学校」(「共同学校」)の現在の全体像を把握する作業が進められている、と判断されるため。

今後の研究の推進方策

世界的なコロナウィルス感染拡大という状況にあって、2020年度の現地調査の予定が、現在のところまったく立てられない。フィールドにさせてもらいっている中等学校とは連絡を保っているものの、現地でも生徒への対応ほか忙殺されて、調査を受け入れる以前の段階にあると思われる。このため、Web環境を活用した間接的な情報収集に傾注する方向を検討中である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 南西ドイツにおけるGMS(Gemeinschaftsschule「共同学校」)の展開と論点2019

    • 著者名/発表者名
      榊原禎宏
    • 雑誌名

      京都教育大学紀要

      巻: 135 ページ: 121-135

URL: 

公開日: 2021-01-27  

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