研究課題/領域番号 |
19K02481
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研究機関 | 京都府立大学 |
研究代表者 |
吉岡 真佐樹 京都府立大学, 公共政策学部, 研究員 (80174895)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 教師教育 / ドイツ教員養成 / 教師教育センター / 教育学院 / 教職課程 |
研究実績の概要 |
昨年度に引き続き今年度も、欧州における新型コロナウィルスの蔓延状況が続き、予定していた現地調査を実施することができなかった。またドイツ大学はそれぞれにコロナ禍への対応に苦慮しており、通常の教師教育体制を維持することに注力するなかで、教員養成組織・機構の改革事業は一定の停滞を余儀なくされている。 このような状況のもとで、研究作業は、インターネットを通じた資料収集にとどまらざるを得ず、本研究が主課題としている各州・各大学ごとの具体的な状況の検討を十分進めることはできなかった。 ドイツの教師教育改革の取り組みは、連邦政府によって2014年から10年計画で実施されている「教員養成の積極的質向上プログラム」を軸に展開されており、現在その第2期(2019~23年)として58大学が参加する48プロジェクトが動いている。 「質向上」のテーマとなっているのは、①教員不足への対応、②教師志願者の実践的力量の向上策、②学校でのデジタル教育の推進とそのための教師教育、④全日制学校(午後も授業を行う学校)の拡大とそのための教師教育、⑤教師以外の専門職を学校教育へ積極的に参加・関与させる取組(「チーム学校」)の推進とそのための教師教育、などである。 ①にかかわっては特に、教職課程を十分に履修していない教員の採用と現職教育保障の問題(特にMINT教科教員:数学、情報、自然科学、技術の教員に対して)、州を超えた教職教育・資格取得と採用の促進の課題、などが重要視されている。 これらの改革課題を遂行していく際の鍵となっているのが、本研究のテーマである「教職センター」および「教育学院」の確立と機能の強化の課題である。新型コロナウィルス蔓延の終息あるいはそれとの共存のなかで、今後、連邦政府の財政的援助のもと各州・各大学で改革が進展するものと予測される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究2年目にあたる昨年、それに続いて今年度とコロナ禍のもとで現地調査がまったく行えず、研究は停滞している。1年目の調査に続いて、ニーダーザクセン州(ハノファー大学)、ハンブルク州(ハンブルク大学)、バイエルン州(ミュンヘン工科大学)、チューリンゲン州(エルフルト大学)、ベルリン州(ベルリン工科大学、ベルリン自由大学)などへの調査を予定していたが渡航自体ができなかった。ズーム(Zoom)やインターネット等を使っての日本からの聞き取り調査も可能ではあるが、改革の現状を構造的具体的に把握するには現地調査は不可欠であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画は、大幅に遅延しているが、当初の予定通り、現地調査を実現したいと考えている。また関係者に対する直接の聞き取りが困難であったも、少なくとも現地を訪問し、教師教育関係施設(大学・学部、大学内の教職センターおよび「教育学院(School of Education)」、教師教育研修所、実習校など)を見学したいと考えている。 ただし、どうしても状況の改善が見通せない場合は、これまで調査した大学および調査予定の大学の教職課程担当者に、メール等を通じて質疑応答を行うとともにズームなどを使った聞き取り調査を試みることによって研究の進展を図りたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究の助成金の主たる部分は、ドイツでの調査とその際の人件費に充てるものである。しかし、新型コロナウィルスの蔓延がドイツでもわが国でも終息せず、現地調査はまったくできなかった。そのため研究期間の延長を求めるとともに、次年度に当初予定していた現地調査を実施したい。
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