研究課題/領域番号 |
19K02487
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研究機関 | 森ノ宮医療大学 |
研究代表者 |
阿部 秀高 森ノ宮医療大学, 保健医療学部, 教授 (80617572)
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研究分担者 |
橋本 弘子 森ノ宮医療大学, 保健医療学部, 教授 (30465661)
中根 征也 森ノ宮医療大学, 保健医療学部, 教授 (70742419)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | インクルーシブ教育 / 教員研修 / 発達障害 |
研究実績の概要 |
本研究は兵庫県伊丹市立天神川小学校の協力の下,継続中である。2020年に入って,全国的な新型コロナウィルスの感染拡大と緊急事態宣言の発令により研究が一時ストップしてしまったが,2021年度に入り,何とか再開し、以下のような成果が見られた。 医療専門職との連携としてまずは,作業療法士の視点から提示された,作業の評価表による取り組みである。評価表に示された各視点に基づいて子どもたち一人ひとりの作業状況を焦点化して観察していくことができるので,より具体的に課題の状況を把握し,それを解決していくための実践における手立て,計画が立案しやすいという実感があった。 次に,理学療法士からのアドバイスで取り組んでいるのは,体幹トレーニングである。これは,朝の会や合同自立活動の授業の始めの5分程度を利用して,特別支援学級の児童全員で行っている。継続的に体幹保持の体操や自分自身にかかっている重力を感じる体操など,地面を押す感覚,自分の身体を支える感覚など,感覚統合訓練としても毎日行ってきた結果,鉛筆を持つ姿勢や体感を支える力の向上が実感できるようになってきた子どもも増えている。 そして,最後は教育研究者との連携による授業実践の向上である。先に述べてきた,教員と医療専門職をつなぎ,そこからの知見を教育カリキュラムに取り入れるために,実際の授業において活用できる教育方法に落とし込めるように教員と共に議論を重ね,授業を作っていった。本研究において,医療専門職との連携によって得られた知見を取り入れた実践を具現化する上で教育方法としてメインに位置づけたのは,合同自立活動における個々の発達段階や特性に応じたペア,グループの組織による実践と個別学習で語彙を増やし,小集団の自立活動ではその語彙を場に応じて使う経験を繰り返し積み重ねていく「ことばのたからもの」の実践をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度は、兵庫県伊丹市立天神川小学校特別支援学級において「ことばのたからばこ」の実践研究、カリキュラム開発・構想を中心に進めた。「ことばのたからばこ」とは、作業療法士の評価表の心理面,認知/遂行的側面の項目について教師が意識すると共に,子どもたちがそうした行動や気持ちを自覚することによって,自分の成長をより確かに実感できるようにすることをねらった取り組みである。授業や日常生活において子どもたちから引き出した言葉を整理し,カードや掲示物にしていつも自分の使った言葉を意識させることに取り組んだのである。 特別支援学級に在籍する子どもたちの多くは,感情のコントロールや衝動性を抑えることなどに,特に困難さを持っている。そこで,このように様々な状況における感情や様子を表す抽象概念を常に言葉と結びつけることを意識するトレーニングをすることよって,少しずつではあるが,立ち止まって考えることができるようになってきている。これまで意識の上に登らせることができていないことにも少し立ち止まって自ら留意するようになる子どももいる。医療専門職の知見を活用した授業づくり,学びの質向上を目指した学習方法による取り組みとその成果である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究のテーマである医療専門職との連携によるインクルーシブ教育実践カリキュラムの構想と,そのカリキュラムの効果を検証するには,最低でも1年間の構想期間とその実践のために数年間の期間が必要となる。 先に述べたとおり,本研究は,現在進行中で本稿はその中間発表となる。現時点で医療専門職や教育研究者の研究への参画,そしてそこからのアドバイスや助言を通して,子どもたちに様々な取り組みを行ってきた。その取り組みが具体化され,新たなアイデアをもとにした実践が重ねられていくごとに,作業療法の視点,理学療法での視点における成長が,学習や日常生活における心情面・行動面において,大きな効果をもたらしていることを,教師や保護者はもちろん,子どもたち自身も実感することができている。 そこで、最終年である2021年度は、本研究で得られた成果を書籍にまとめ、広く発信していきたいと考えている。そのために、2020年度に蓄積した授業実践、教員研修などの動画を分析し、医療専門職との連携によるインクルーシブ教育実践カリキュラム構想を実現するために必要な教育方法、教育実践の在り方をより具体的に整理していきたい。さらに、実際の教育現場の教師に活用して貰えるような形に仕上げていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度は、コロナ禍のため、出張を自粛する場合が多かったため、出張にかかる費用を使うことがなかった。今年度は、最終年度になることもあり、研究成果のまとめ、発表のために今年度分として請求した助成金を合わせて使用していきたい。コロナ禍が続いているため、前年度と同様に、出張が難しくなるので、今年度の使用目的としては、研究成果のまとめとしての書籍制作に残りの金額の80%程度を充当し、その他を資料の収集、消耗品、まとめ作成に必要となる機材の購入に充てる予定である。
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