研究課題/領域番号 |
19K02489
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研究機関 | 広島修道大学 |
研究代表者 |
山川 肖美 広島修道大学, 人文学部, 教授 (40284137)
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研究分担者 |
坂口 緑 明治学院大学, 社会学部, 教授 (10339575)
三浦 浩之 広島修道大学, 国際コミュニティ学部, 教授 (80157437)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | シビックエンゲージメント / まちにある学習装置 / 学びのデザイン / 学習の個人的成果 / 学習の社会的成果 / 学びとまちづくりの循環 / オンラインによる学びのデザイン |
研究実績の概要 |
本研究では、まちに広がる学びにより市民がシビックエンゲージメントの担い手として育ち、実践することでまちが持続していく仕組みが構築されるメカニズムについて明らかにすることを目指している。2年目となる2020年度は、1年目に概ね確定をみた研究フレームに拠って、都市における学習装置創発のメカニズムとその個人的・社会的成果としてのシビック・エンゲージメントの内実を明らかにすることを目的に研究を進めた。 この目的を達成する具体的な取り組みとして、第1に、コロナ禍の拡がりによって前年度2・3月に見合わせた公的機関による学習機会参加者への追加調査と民間事業者によるシビックエンゲージメントを育む「まちにある学習装置」の存在とその社会的・公共的成果に関する調査の実施、第2に、海外の先進都市(デンマーク・オーフス市等とアメリカ・ポートランド市等)での現地調査を予定していた。 第1の取り組みについては、コロナ禍の合間をみて実施を数回試みたが、いずれも新型コロナウィルス感染拡大防止のため、対象となる学習機会が延期・中止されたり所属大学より現地での出張許可が下りなかったりなどの理由で断念せざる得なかった。第2の取り組みについても同様の理由で実施に至らなかった。こうした状況を受け、所属大学にある広島県内での調査実施も検討をしたが、こちらも、対象とする学習機会の延期・中止、学外出張の困難により実現に至っていない。 そこで、今年度は、研究代表者、分担者それぞれの専門性のもとで、既得の多様なデータの読みなおし(再解釈)と新規の文献研究を組み合わせた方法で、研究フレームに沿って研究を進めた。また、学びによる新たなシビック・エンゲージメント生成の方法として、オンラインによる学びのデザイン(学びの場づくりや学びの支援)を試行し、検証をした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定していた2つの取り組みが、新型コロナウィルスの感染拡大の影響により遂行することができなかった。代替の取り組みについても検討し試行しようとしたが、こちらも、同様の理由から実現に至らなかった。 一方で、オンラインによる学びのデザインを試行・検証する中で、学びとまちづくりの好循環をオンライン型の学びによっても構築できる可能性を把握することはできた。今後、まちに広がる学習装置のあり方の選択肢の一つとしてオンラインによる学びの可能性も検討をしていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目的を達成に向けて、これまでの研究成果や研究協議から次の3つのフェーズを設定している。 第1フェーズとして、まちに広がる学習装置の所在を明らかにすること。ここが、シビックエンゲージメントをはじめとする様々なパブリックな場や活動への出入口にになると想定している。第2フェーズとして、まちに広がる学習装置によってシビックエンゲージメントが生まれるメカニズムを明らかにすること。ここでは、1つは学習装置から生まれたまちのプレイヤーの、シビックエンゲージメントを生み出す活動、もう1つは政策決定や意思決定への関与や決定した各種計画への実装への参画の意向や状況を把握する。各種委員、パブリックコメント、オープンハウスやワークショップへの参画やまちづくり活動への展開等が対象となる。第3フェーズとして、シビックエンゲージメントを生む、行政側からの働きかけによる協働のまちづくりの進展状況と協働のまちづくりが促す学習装置の所在を調査すること。これからの都市戦略の実装において、学びを通じた市民と行政の協働のまちづくりが重要と考えている。 以上のフェーズは、それぞれに相互関連性があるものとして把握・分析する。また、これらに関わるセクターには、行政だけでなく、民間セクターも含んで考える。 今年度については、とりわけ、第1フェーズと第2フェーズを丁寧に調査・検証する。具体的には、次の3点を想定している。第1に、まちにおける学習装置の所在とそこでの学びの個人的・社会的成果の把握である。これらの成果の主なものにシビックエンゲージメントの萌芽を想定する。第2に、シビックエンゲージメントを育むための学びの場づくりや学習支援のデザイン、加えて、このデザインを担う学びのオーガナイザーの資質・能力、関わり方に関する調査である。第3に、シビックエンゲージメントを促す上でのワークショップの役割と意義についての研究である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は、当初の研究計画では、海外調査を中心に予算執行をする予定であったところ、コロナ禍の影響で計画の遂行を断念せざるを得なかった。計画の変更(代替措置)として、国内調査を計画したが、こちらもコロナ禍の影響で中止せざる得なかった。(現地調査対象機会の延期や中止、勤務校からの出張許可が下りなかった。)
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