研究課題/領域番号 |
19K02491
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研究機関 | 別府大学 |
研究代表者 |
櫻田 裕美子 別府大学, 文学部, 教授 (70389576)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 教育実習 / 教員養成 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、従来ブラックボックス化されていた教育実習について、一般大学学部の教職課程の学生が高等学校で行うそれに焦点を当て、教育実習中のいかなる要因が教員としての資質能力の形成、あるいは阻害に影響を当てているのかを明らかにすることにある。特に、学校の雰囲気や教育実習中に関わる他者(指導教員、指導教員以外の教員、他の教育実習生、生徒)との関係性に注目している。 令和3年度は、教育実習におけるコロナ禍の影響を明らかにすることを試みた。コロナ禍の2022年度に実施したアンケート調査(対象:A大学)と、コロナ禍前の2018年に実施したアンケート調査(対象:B大学)の結果の比較分析から、コロナ禍における教育実習の実態を把握し効果を検討した。なお、今回の分析は、サンプル数の確保の観点から高等学校での教育実習のみならず、中学校さらに栄養教諭(A大学のみ)としての教育実習経験者も含めている。 教育実習に関する質問紙調査の結果から、教育実習の経験(講話回数・内容、授業の観察時間、参加実習の開始時期・回数、授業実習以外の取組、授業実習(教科)の開始時期・回数、指導案の作成頻度、研究(査定)授業の実施の有無、反省会へ参加した人数・人物、反省会の時間等)と他者(指導教員・他の実習生の人数、指導教員・指導教員以外の教員・生徒・他の実習生)との関わり等および、教育実習の効果(社会人としての能力、授業に関する能力、教員として必要な能力)においてコロナ禍の教育実習とコロナ禍前の教育実習でどのような違いがあるのかを検討した。 その結果、他の実習生とのプライベートにおける関りの少なさやICT活用能力の習得等、一部コロナ禍による影響がうかがわれる結果が得られた。しかしながら、おおよその教育実習の経験、他者との関わり、教育実習の効果については、コロナ禍とコロナ禍前による差異がないことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
高等学校の教育実習に焦点を当て、教員としての資質能力の形成における教育実習の影響を多角的に検討することを目的とする本研究では、(1)教育実習の実施状況の多様性を明らかにするための学校調査、(2)教育実習の実態を明らかにするための実習生調査、(3)実習生と受け入れ側の意識の相違点を明らかにするインタビュー調査、の3つを行う予定である。 このうち令和3年度には、(2)に関連してコロナ禍の教育実習とコロナ禍以前の教育実習の相違を明らかにした。その結果一部コロナ禍によるものと思われる差異は確認されたが、おおよそ両者間で実習経験、他者との関わり、教育実習の効果に差がないことが確認された。 しかしながら、前年度ほどではないものの学校現場における外部からの関与が困難であったことから(1)および(3)については進めることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
高等学校の教育実習に焦点を当て、教員としての資質能力の形成における教育実習の影響を多角的に検討することを目的とする本研究では、(1)教育実習の実 施状況の多様性を明らかにするための学校調査、(2)教育実習の実態を明らかにするための実習生調査、(3)実習生と受け入れ側の意識の相違点を明らかに するインタビュー調査、の3つを行う予定である。 現状、学校現場では、コロナ感染症感染拡大の対策を取りつつ、適切な対応の下で教育実習が遂行されようとしている。本年度は、昨年実施が叶わなかった(1)についてアンケート調査を実施する。(2)については、今後も分析を進める。(3)については、コロナ感染症感染状況を見極めつつ、適宜オンラインを活用しながら進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和3年度に予定していた学校調査の実施が遅れている。そのため計上した経費のうち「研究協力者謝金」、「アルバイト謝金」、「通信費」の支出がなかっ た。令和3年度に学校教員に対するアンケート調査を実施し、その際に支出予定である。 また、コロナ感染症拡大防止対策として、学会が中止となったり、教育実習の観察を行うことができなかった。そのために「旅費」の支出がなかった。
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