研究課題/領域番号 |
19K02493
|
研究機関 | 国立歴史民俗博物館 |
研究代表者 |
樋浦 郷子 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (30631882)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 教育史 / 学校儀礼 / 身体 |
研究実績の概要 |
2020年度においては、感染症拡大という非常に厳しい状況のもとで、インターネットで入手可能な韓国や台湾などの学校文書のうち植民地期のものを地道に読み込む作業を継続した。この作業は、資料の翻刻や研究ノートの形で投稿準備の最終段階まで進展させることができた。このように厳しい状況のもとでも、入手可能な資料の読み込みから2度のオンライン発表が可能になった。(1)報告としては「意図した断絶と意図せざる継承について―1945年の台湾と朝鮮における学校文書から」(京都大学教育学研究科2020レクチャーシリーズ 第2回 公開特別講演、2020年8月28日)、「韓国併合直後の公立普通学校 ―『草渓公立普通学校沿革誌』を手がかりとして―」(教育史学会第64回大会、2020年9月27日)という形で2度の機会に挑戦することができた。前者では、学校文書形式の1945年以降の台湾や朝鮮半島での継続について、後者では、朝鮮半島南部の山村の普通学校と地域の伝統教育機関(書堂)の関係について一定の知見を公表することができた。(2)公表した論考としては「(遺跡を訪ねて)八重山島蔵元跡から」(『學士會会報』947号)において、琉球以来の会所による漢籍教育と、新式学校による教育とのはざまで起こるさまざまな相克の事態に、多少なりとも迫ることができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
(1)2020年には、東アジアの書房(台湾)・書堂(朝鮮半島)・手習塾(日本本州)に関わる国際シンポジウムを計画していたものの、新型コロナ感染症の拡大により、先の見えない延期をせざるを得ない状況となった。(2)同じ理由から、韓国や台湾や国内の大学図書館、公文書館など諸機関への出張がかなわず、調査に著しい支障が生じた。(3)そうした非常に厳しい状況のもとで、インターネットで入手可能な韓国や台湾の学校文書のうち植民地期のものを地道に読込む作業を継続した。この作業は、資料の翻刻や研究ノートの形で投稿準備の最終段階まで進展させることができた。(4)制限のある状況のもと、入手可能な資料の読み込みをもとに、2度のオンライン発表が可能になった。
|
今後の研究の推進方策 |
(1)まず国際シンポジウムについては、音・読み、を主題とする研究であるだけに、対面での実施が理想と考えている。感染症拡大の機関を良い勉強の機会として、実際に対面でシンポジウムが開催できる条件が整った段階で、琉球の会所なども含めて近代の初期を広く声・読む文化から問い直すシンポジウムとして再構成し実施できればと考えている。(2)2020年度に投稿準備を最終段階まで進めた3本の論考を投稿することを2021年度最優先の課題とする。(3)音と声という研究課題を、身体性に広げてアプローチすることを試行し、今後の計画課題を練る。
|
次年度使用額が生じた理由 |
台湾と韓国から近世近代移行期の研究者を招き、漢文教育の歴史に関わる国際シンポジウムを計画した。しかし、予想できない感染症の拡大とその防止の観点から、中止せざるを得なくなった。
|