研究課題/領域番号 |
19K02494
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
白水 浩信 北海道大学, 教育学研究院, 教授 (90322198)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | educatio / disciplina / 翻訳語の対応 / ラテン語 / ギリシア語 / サン・ヴィクトルのフーゴー / プルタルコス / 教育言説 |
研究成果の概要 |
本研究は15~16世紀における羅語educatioの用例に関して、諸言語間の訳語対応に注目し、近代以降のeducation用例との不連続性を明らかにするものである。15世紀に羅語作品からの翻訳として仏語educationの初出を指摘した点は本研究成果である。中世の教育言説はeducatioではなくdisciplinaを軸に編成され、フーゴー『修錬者の教導』を分析しえた点も本研究の成果である。羅語ではeducatioとdisciplinaの二つの語彙は相容れず、近代揺籃期、両語の混淆が生じ、次第にeducatioはdisciplinaとして語られる語彙基板の流動化が成立しつつあった点を解明した。
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自由記述の分野 |
西洋教育史
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
希語―羅語―西欧諸語間の訳語対応に注目する本研究によって、従来、希語パイデイアが羅語educatioとは無縁であり、専らdisciplinaによって羅語訳され、その趨勢は中世まで変わらなかった点が確認された点は学術的意義を有する。そのことはまた、中世にeducationの観念がなかったとするアリエスの指摘とその反論に対し、語彙史研究という新たな角度から再考を促す意義をも有する。そしてeducationを学校における知育・徳育と結びつける現代の固定観念が、15~16世紀の翻訳語彙の流動化に由来するという研究成果は、現代社会の教育観を歴史的に相対化し、あらたな視座を啓く意義を有するものである。
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