2019年度においては、広東省の湛江市、広州市において2校の学校を訪問し、各校の校本課程について調査を行った。 湛江市の第二八中学校は、小学部を併設している小中一貫校で、2011年に新設された学校である。小学校3年生以上で校本課程を実施し、学校の教員組織、地域サークルの講師、地元にある嶺南師範学院の教員による協力で各学期で12時間が設けられている。内容はプログラミング、吹奏楽、ダンスの3つのコース18種目から選択となっており、年間を通じて同じ種目を学んでいる。さらに少年宮が併設されており、放課後においてお楽しみ班(興趣班、第二の教室)の活動も行われている。 広州市の龍口西小学校は、5校区を包括する大規模校である。校本課程では、他項目活動として体育、芸術、科学技術を柱に毎日1時間が設けられ、読書活動(大閲読)と合わせて取り組まれている。それぞれ、体育祭、芸術祭、科学技術祭、読書祭の行事があり、クラス対抗戦もある。その他、中国文化を特徴とする無形文化遺産の学習に力を入れ、古典の暗誦、古代楽器の演奏などの活動も行われている。放課後においては非営利の校外機構(校隊)が約10団体あり、約半数の児童が学校施設を利用して50種目ほどの活動を選択して行っている。 中国の学校では、応試教育から素質教育への転換が進められており、その改革の一環として校本課程(School based curriculum)が導入されているが、この取組みが学校単独で実施しているのではなく、地域の教育資源を活かした校外教育の拡がりと密接に関連しながら取り組まれていることが分かった。
|