研究課題/領域番号 |
19K02496
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
上田 孝典 筑波大学, 人間系, 准教授 (30453004)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 学校外教育 / 家庭教育 / 社区教育 |
研究実績の概要 |
当該年度においては、現地での調査に代わり、中国研究者へのオンラインでの聞き取り調査、及びインターネットによる国や地方政府の政策動向をレビューした。とくに、職業教育法の改正と家庭教育促進法の制定、放課後児童への学校外教育に関する規制強化について考察した。 職業教育法の改正については、普通教育の単位互換による相互乗り入れ制度、卒業後の専門性の高い継続教育システムの充実、また分野ごとの人材配置の適正化を促す学科再編などが行われ、その背景に、高度職業能力を有する人材養成と学歴社会是正に向けた職業教育への受験誘導策があることを考察した。 家庭教育法は、一方では各地域に家庭教育指導サービスステーションを設置し、「家庭教育指導読本」を作成しながら家庭や地域社会全体で家庭教育推進体制を構築することが目指されながら、他方では「全国家庭教育指導大綱」を公布し愛党、愛国、愛人民、愛集団、愛社会主義などのスローガンで、国家の強力な指導体制を根幹にした家庭教育が強調されていることを考察した。 また子どもたちへの学業負担軽減を目指した通知により、民間の学習塾が排除され、非営利の学校外教育機関のみが許可された。しかも、これらの学校外教育機構はすべてオンラインのプラットフォームで登記しなければならず、職員体制や教育内容、カリキュラムなど審査・管理の対象とされることになった。そのため、地方政府が主導する形で既存の少年宮や青少年活動センター、社区学校などもこれまで以上に学校と連携しながら多彩なメニューを提供していくよう、方向づけられていくものと考えられる。同様に、オリンピックを契機とした生涯スポーツの推進方策についても国務院より意見が出され、スポーツ施設の整備や指導者(コーチ)の養成などの、余暇やレジャーとしてのスポーツとともに子どもたちへのスポーツクラブなども増えてくることが予想される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウィルス感染症の影響により、中国への渡航が厳しい状況にあり、さらに昨今の政治情勢から外国人による現地調査の受入が難しくなっていることから、研究の進捗が大幅に遅れている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
まずは現地での調査可能性について、中国の研究者の協力を得ながら模索していく。また本研究課題を遂行するための関係者への調査が難しい場合、中国の研究者から最新の動向について情報を得ながら、国や地方政府の教育政策動向を把握し、今後の持続的な研究に向けた作業を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
中国における現地調査が行えなかったために、旅費が計画通りに執行できなかった。今後は新型コロナウィルス感染症の規制緩和が進むため、積極的な現地調査を進めていく。
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