研究課題/領域番号 |
19K02500
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
藤井 基貴 静岡大学, 教育学部, 准教授 (80512532)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 研究公正 / 研究倫理 / インテグリティ / 研究倫理教育 / モラル |
研究実績の概要 |
科学技術・学術研究の高度化・複雑化に伴い、研究不正行為の低減(発生予防及び対応)が世界各国の課題となっている。我が国でも研究倫理教育の確実な実施による「研究公正システム」の改善・構築が急がれている。その一方で、過去の事例に即したコンプライアンス型の予防教育や罰則強化が行き過ぎることで、先端的・革新的な研究活動への意欲や取組が阻害されることも懸念されている(松澤孝明, 2014)。本研究の目的は、2014年より「責任ある研究とイノベーション」(Responsible Research and Innovation, 以下RRI)の両立を標榜する欧州のなかで、研究者及び研究機関による自律分散型の学術システムを基盤とするドイツの取組に注目し、その研究者育成・研修プログラム(以下、RRI教育)の理念及び制度論的特徴を分析することによって、我が国の制度設計、システム構築、教育プログラム開発の参照となる学術的知見を提示することにある。2023年度においては研究倫理教育プログラムの開発の一環として社会的リスクに関わるジレンマ教材の開発分析、生成AIを活用した研究活動の課題、「公共」や「尊厳」に関する概念的分析等について調査を行った。また、研究倫理教育の基盤となる道徳理論や他分野におけるインテグリティ教育との共通点や相違点などについて関連学会で報告を行い、情報収集及び成果発表につとめた。生成AIと研究公正については公正研究推進協会(APRIN)において成果の一部報告を行うとともに、論文化に向けた作業を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
欧州での現地調査を予定していたものの受け入れ予定の教員とのスケジュールの折り合いがうつかず翌年度へ延期したため
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今後の研究の推進方策 |
9月までに欧州での現地調査を行うとともに、その成果を論文としてまとめる。あわせてRRIをめぐる新たな課題となっている生成AIと研究公正との関わりについての考察を論文化する。研究倫理教育の教材化についてはこれまでにえられた知見をもとにして、5月にモデルを試行し、アンケートによって効果や課題点について明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
欧州での出張調査が共同研究者のスケジュールの折り合いがうつかず翌年度に変更となったため出張費の繰り越しを行った
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