研究課題/領域番号 |
19K02501
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
江頭 智宏 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 教授 (40403927)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 学校田園寮活動 / ドイツ学校田園寮全国連盟 |
研究実績の概要 |
2022年度もコロナ禍のために渡独をすることができず、訪問予定であったドイツ・カリタス連合やドイツ・ディアコニーの文書館や図書館を訪問することができず、予定通りに研究を進めることができなかった。 そうした中、国内で入手することのできた、ベルリンで1925年10月に開催された学校田園寮活動に関する第1回全国会議に関する報告書と、ドイツ学校田園寮全国連盟が学校田園寮活動の広報を目的として1930年に編纂した『写真入りハンドブック』などに依拠しながら、ヴァイマル期における学校田園寮活動について、子どもの健康という観点から検討した論稿を著した。その中で明らかにしたことは以下の通りである。 ①学校田園寮活動は、草創期から子どもの健康に寄与するものであるという使命を強くもっており、ドイツ学校田園寮全国連盟の発足が決議されるなど学校田園寮活動の発展に際して重要な契機となった第1回全国会議に際しても、学校田園寮活動には健康上の意義があるものとみなされていた。②ドイツ学校田園寮全国連盟の規約では、その目的において健康への寄与等に直接言及されることはなかったが、各学校田園寮単位で作成された規約の目的に目を向けると、健康への寄与について言及されているものも見られた。③個々の学校田園寮において教育に関する目的と健康に関する目的が結び付いていたこととともに、「保養の場」「医療の場」「栄養の提供の場」などとして実際に学校田園寮が機能していた。 そしてそのうえで、教育実践でありながらも、多方面から子どもの健康の増進に対して強く寄与することを意図していた学校田園寮活動は、教育と福祉とが不可分に統合された進歩的な実践として高く評価することができると結論付けた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
ドイツの連邦民間福祉団体連合を構成する諸団体の教育活動や青少年援助活動の歴史について明らかにする本研究は、ドイツの文書館や図書館での史資料の収集を研究の核としている。2020年度と2021年度とコロナで渡独できなかっただけに、2022年度はコロナが明ければ2週間ほど滞在して資料収集を行う予定であった。主として訪問予定であった場所はベルリンのカロリーネ・ミヒャエリス通りに所在地をおくドイツ・ディアコニー事業団の文書館(Archiv des Evangelischen Werkes fuer Diakonie und Entwicklung)であり、当文書館に所蔵されている、ディアコニー傘下の「福音主義教育連盟」「福音主義全国教員連盟」「福音主義女子教育寮全国会議」「福音主義的社会教育学のための養成所連盟」などの諸団体のファイルを閲覧して史料を収集し、論文に纏める予定であった。しかしながら2022年度もコロナ禍のために渡独をすることが叶わず、予定していた史料収集ができなかったため「(4)送れれている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度~2022年度にかけてドイツでの史料収集ができなかったが、この間の研究の空白を補うべく2023年度は8月下旬~9月下旬にかけてドイツでの史料収集を実施する。 主として訪問する場所は、ベルリンのドイツ・ディアコニー事業団の文書館であり、当文書館に所蔵されている、ディアコニー傘下の「福音主義教育連盟」「福音主義全国教員連盟」「福音主義女子教育寮全国会議」「福音主義的社会教育学のための養成所連盟」などの教育に関わる諸団体のファイルを閲覧して史料を収集する。さらに「福音主義女子教育寮」については、ベルリンの連邦文書館や、各州の州立文書館の中でも当該史料を比較的多く所蔵しているドレスデンのザクセン中央州立文書館においても史料収集を実施する。またこれまで本研究では、ドイツ無宗派福祉事業連盟との関わりに焦点を当てながら学校田園寮活動について主に取り上げてきたが、学校田園寮に関する豊富な史料が所蔵されているベルリンのドイツ教育史研究図書館でも新たに史料収集を実施する。 これらの史料収集の成果に依拠しながら、ドイツ・ディアコニー事業団の傘下の団体に見られる教育と福祉の連携という観点から論文を執筆するとともに、学校田園寮活動に関してもこれまでの研究成果を新たに掘り下げるべく論文を執筆する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度はコロナ禍でドイツへの渡航ができず外国旅費の支出が全くなかったことが次年度使用額が生じた最も大きな理由である。2023年度は夏季(8月および9月)にドイツへの渡航を実施することで適切に経費を使用していきたい。
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