研究課題/領域番号 |
19K02502
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
石井 英真 京都大学, 教育学研究科, 准教授 (10452327)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 学校改革 / 授業研究 / カリキュラム・マネジメント / 資質・能力 / 真正の学び / 学びの保障 / 共同体としての学校 / ICT活用 |
研究実績の概要 |
本年度は、コロナ禍で顕在化した学校をめぐる問題状況もふまえて、それぞれの研究目的を再構成しつつ深めた。カリキュラムや授業の中身に関わる研究目的①に関しては、コロナ禍で主題化された学校の機能と役割に関する問いを深め、資質・能力ベースのカリキュラム改革の延長線上に、公教育のバージョンアップをどう図るのかについて考究した。具体的には、履修主義と修得主義という教育課程の履修原理、教育の公正性や教育の個別化・個性化をめぐる論争点などについて歴史的・原理的に検討を進めた。さらに、オンライン学習やICT活用を組み込みながら、「真正の学び」や「教科する」授業といった、本研究が提起してきた実践のヴィジョンを、「オーセンティックでインクルーシブな学び」の実現という形で、拡張し再構成し、その実践指針も明らかにした。 学校としての組織的な実践改善の方法論に関わる研究目的②に関しては、共同体としての性格の強い「日本の学校」の意義と課題を明らかにする作業を行った。その上で、学校や教師の仕事のコアな部分を見極めながら、保護者や地域社会や民間サービスなどとの連携も含めた学校経営のあり方についても検討し、目指す子ども像として明確化されたヴィジョン(価値)の探究で背骨を通す学校改善の方法論を精緻化した。学校ぐるみの授業改善を軸にしたカリキュラム・マネジメントの方法論については、大阪府教育センターや広島県教育委員会などにおいて、高等学校教員の研修プログラムとして具体化されており、オンライン等で研修の設計の助言や研修の提供を行った。また、初等・中等教育段階の教員とオンライン等での共同授業研究などを通して、アクション・リサーチを展開した。 上に述べたような研究成果については、著作や論文として発表するとともに、公開シンポジウムに招待されるなど、自らの専門分野以外の教育研究の諸学会において、広く発表することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍で海外調査などは行えていないが、オンラインで教育現場と連携するなどして補ったり、ICT活用や個別最適な学びという発想など、本研究をさらに深化させる視点を取り入れて、研究を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍で国内外でのフィールドワークは難しいが、オンラインを活用して、情報や知見の収集を行いたい。流動的な状況であるが、そこで顕在化している学校の課題を対象化しながら、本研究の課題を最新の教育課題と結びつけながら研究を進めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍でフィールドワークの費用を支出できなかったので、今年度、フィールドワーク、あるいはオンラインでの調査費用として支出する。
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