研究課題/領域番号 |
19K02508
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
曽我 幸代 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 准教授 (40758041)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ESD / SDGs / 自己変容 / 社会変容 / ホールスクール・アプローチ |
研究実績の概要 |
本研究のねらいは「異質な他者とともにいることが多文化共生社会につながるのか」を明らかにすることにある。自らとは異なる文化的背景をもつ他者への排他的行動、異常気象やプラスティックごみによる影響などは、他者および自然との「共生」の困難さを露呈している。繰り返される権利侵害や災害の歴史から私たちは何を学び、日常に生かしてきたのかが今問われている。ESDは普段目をそむけたくなる持続不可能な状況に向き合い、他人事であった問題を自分事にしていくこと、すなわち自らの価値観や行動、ライフスタイルを変え、持続可能な社会の担い手を育てることに目的をおいた教育活動である。しかしながらその目的にある「自らの価値観や行動、ライフスタイルを変える」という自己変容に関する研究は途上にある。 本研究では学びを日常生活につなげるというESDの特徴の一つである「適用可能性」に着目し、それを自己変容につなぐためにケアリングの概念を用いる。 当該年度は、ESDに関連する昨今の国内外の状況を捉えるために以下の2つに注目して、文献研究を中心に進めた。 1)SDGs(持続可能な開発目標) 持続可能な開発を国際的に成し遂げるために、開発目標が国連で採択された。SDGsはどのような社会を目指し、私たち一人ひとりはそれにどのようにかかわっていくことが望まれているのかを捉えるとともに、教育、すなわちESDの可能性を探求した。 2)ESD for 2030 「国連ESDの10年」「GAP(グローバル・アクション・プログラム)」に続く「ESD for 2030」のフェーズにおいて、変容が改めて強調された。そのなかでESDを通して、どのような社会を目指すのか、どのような変容のプロセスを描いているのかを捉えながら、ホールスクール・アプローチの重要性を改めて確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画していた海外でのスタディツアーやESDの優良実践を訪問する国内調査が新型コロナ・ウィルスの感染拡大の影響により実施できなくなったため。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナ・ウィルスの感染状況に鑑みながら、調査の実施を判断する。国内外での調査実施が困難な状況下においては、ESDやケアリングに関する文献調査を遂行し、かつ実践についてはWEBに挙げられている情報を収集する。また、ビデオ会議のツールを駆使し、優良実践の候補者へはインタビュー調査を実施することも検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
国内外の調査が新型コロナ・ウィルスの感染拡大の影響により、実施できなかったため、その分の経費が次年度に繰り越しになった。次年度もコロナ禍の影響が続くため、状況を判断しながら、調査の実施時期を調整する。インタビュー調査が対面で実施できない場合、ビデオ会議のツールを生かすため、それにかかる備品の購入を検討する。
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