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2022 年度 実施状況報告書

学校改善支援主体の機能に着目した現代イギリス保守党政権下の学校主導型制度の研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K02511
研究機関東京成徳大学

研究代表者

青木 研作  東京成徳大学, 子ども学部, 教授 (20434251)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2024-03-31
キーワードイギリス / 教育行政 / 学校主導型制度 / マルチ・アカデミー・トラスト / ティーチング・スクール・アライアンス / 地方当局 / 学校改善支援
研究実績の概要

本年度は、以下の2点についての調査研究を実施した。
1.学校白書に基づく学校改善支援主体の分析
2022年3月に公表された学校白書「すべての人に機会を:あなたの子どものための素晴らしい教師がいる強い学校」において、複数のアカデミーが一つの経営体によって運営されるマルチ・アカデミー・トラスト(MAT)が学校改善支援主体の中心として位置づけられることが明確にされた。2010年以降、アカデミーの拡大を通じて教育水準の向上を図る一方で、学校が学校を支援する難しさも指摘されており、そうした課題の解決策としてすべての学校が強力なMATに所属することを求めているのである。2010年と2016年と2022年の学校白書を中心的な文献として比較検討することを通じて、保守党政権の学校改善支援主体に対する考えの変遷の分析を進めている。
2.MATのCEOへのインタビュー調査
ロンドンを拠点とした3つのMATのCEOに会い、MATの組織構造やCEOの役割などについてインタビューを行った(2023年3月実施)。2020/21年度のデータによれば、MATは全国に1,198あり、最も規模の大きなMATは76校のアカデミーを有している一方、2校で構成されているMATは251で全体の約2割を占めている。政府はMATが10校を超える規模になると財政的に安定し、十分にサポートされた人材の効果を最大限に発揮し、学校の改善を推進することができると考えている。今回調査した3つのMATはそれぞれ32校、13校、10校のアカデミーが加盟している規模の大きなMATであり、中央オフィスに財務や人事や学校改善の専門的な人材を配置し、加盟するアカデミーへの支援をきめ細やかに実施している様子であった。この調査結果に対する詳細な分析は次年度に行うが、MATの実態を理解するための貴重な情報を数多く得ることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

現保守党政権下で進む学校主導型制度(school-led system)における学校改善支援主体の機能について研究を行うために、2022年度は、第一にマルチ・アカデミー・トラスト(MAT)についての現地調査、第二に2022年3月公表の学校白書についての分析、第三にMATやそれ以外の学校改善支援主体に関する文献調査を行う予定にしていた。
第一については、ロンドンを拠点としているMATのCEOにインタビュー調査を行い、MATの組織構造やCEOの役割について理解することができた。特に加盟するアカデミーに対してどのような支援を行っているかについて具体的な話を聞くことができ、学校改善におけるMATの役割を研究する上で貴重な情報を得ることができた。
第二については2022年の学校白書でこれまでさまざまに想定されてきた学校改善支援主体がMATに集約されていくことが示されており、また、第三については、アカデミーに関する文献の収集や学校改善支援主体のホームページ等を通じてさまざまな情報を得ることができ、その実態や評価や機能についての理解を深めることができたが、そうした成果を論文としてまとめるというところまで、研究の水準を高めることができなかった。
総じて、いろいろな調査を行うことができ、研究は着実に進んでいると考えているが、論文等にまとめることができていないため、十分な研究成果を上げることができていない。そのため、進捗状況については、「やや遅れている」と評価した。

今後の研究の推進方策

今後の研究については、以下の3つの方策に基づき進めていく。
第一に、2023年3月に実施したマルチ・アカデミー・トラスト(MAT)のCEOへのインタビュー調査を基に、MATの学校改善機能の実態について分析を進め、論文としてまとめる。
第二に、2010年以降の学校改善支援主体について改めて整理し、MATに集約されていく背景や理論、各主体のメリット・デメリットの文献調査を進め、学校主導型制度における学校改善支援の全体像を把握できるよう努める。
第三に、MATに加えて、MATと関りながら学校改善に一定の役割を期待されているregional directorやその他の主体、またMATに批判的な団体をターゲットに現地調査を実現させ、現保守党政権が目指す学校主導型制度における学校改善支援の実態を複層的に明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

研究期間内に3回予定していたイギリスでの調査がコロナウィルスの感染拡大の影響で現在までに1回しか実施できていないため次年度使用額が生じた。
補助事業期間を延長し、予定していたイギリスでの調査を実施することで使用する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] COVID-19対応の教育政策に対する認識2022

    • 著者名/発表者名
      ダンカン・ボールドウィン(担当:青木研作)
    • 雑誌名

      日本教育行政学会年報

      巻: 48 ページ: 174-177

  • [図書] 改訂版 保育者・教師のフロンティア2023

    • 著者名/発表者名
      伊藤良高他編
    • 総ページ数
      136
    • 出版者
      晃洋書房
    • ISBN
      9784771037441

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公開日: 2023-12-25  

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