研究課題/領域番号 |
19K02513
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研究機関 | 白百合女子大学 |
研究代表者 |
中田 正弘 白百合女子大学, 人間総合学部, 教授 (20527345)
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研究分担者 |
町支 大祐 帝京大学, 公私立大学の部局等, 講師 (40755279)
坂田 哲人 大妻女子大学, 家政学部, 講師 (70571884)
荒巻 恵子 帝京大学, 公私立大学の部局等, 教授 (80743070)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | カリキュラム・マネジメント / 教員の能力開発 / 研修プログラム / 組織マネジメント |
研究実績の概要 |
本年度は、主に、カリキュラム・マネジメントに関する研修や実践に取り組む学校、教育委員会を訪問調査しその運用実態や成果・課題等を実証的に明らかにするとともに、カリキュラム・マネジメントにかかる教員の能力開発につながる研修プログラムの検討と試行を進めてきた。コロナウイルス感染の拡大に伴い、訪問調査できた学校数はかなり限定的であったが、オンライン等を利用し、小学校4校、中学校1校、研究者1名を対象に聞き取りを行った。それらを分析した結果、カリキュラム・マネジメントは、学校教育目標を日常の教育活動といかにつなげていくか、その意識を教職員がいかに具体的に持つかということが極めて重要であり、そのためには、組織目標と授業とをつなげていく、いわば翻訳者としてのミドルリーダーの存在、さらにはカリキュラム・マネジメント実践を可能にする管理職等の組織マネジメントが不可欠であることなどが明らかになってきた。 また、教員がカリキュラム・マネジメント実践を進めるための条件整備(例えば打合せ時間の確保や地域人材の確保等)については、十分ではないと感じている教員が多く、研修プログラムの開発あたっても、例えば、既存の取組を工夫・改良していくなど、継続的なカリキュラム・マネジメント実践を可能にするための重要な配慮点として確認することができた。 こうした成果を踏まえ、カリキュラム・マネジメントの能力開発につながる研修プログラム(管理職対象、ミドルリーダー対象、若手教員対象)を検討し、4小学校1教育委員会において試行してきた。 加えて、連携する教育委員会の依頼を受け、地区内の学校・教員に対する調査の質問紙作成及び分析にも取り組んできた。 2020年3月に実施したフィンランドでの聞き取り調査の結果については、日本学校教育学会で報告するとともに、論文に整理して白百合女子大学の紀要に投稿し掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究においては、学校現場におけるカリキュラム・マネジメント実践の現状や課題、教育委員会における研修の取り組み等について、実証的に明らかにしていくことが欠かせないが、2020年度は、コロナウイルス感染拡大に伴い、その実施が十分に行えなかった。とりわけ、他県の教育委員会等への訪問調査は、中止をした。 また2020年3月に実施したフィンランドにおける調査も、感染拡大の影響を受け、中断せざるを得なくなったが、2020年度も同様に海外調査は実施できなかった。加えて、予定していた北欧教育学会での議論も実施できなかった。資質・能力育成型の教育を進める国のカリキュラム・マネジメント実践との比較研究は欠かせないと考えている。 以上を踏まえると、2020年度は、カリキュラム・マネジメントにかかる教員の能力開発のための研修プログラム開発に至る前段の調査研究にやや遅れが生じている状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
2020年に、連携する教育委員会との協働により実施した質問紙調査結果を基に、地区内7校において追加的なインタビュー調査を行うこととしている。量的調査・質的調査を組み合わせた分析を進め、カリキュラム・マネジメント実践の条件整備、教員の能力開発のための研修プログラム検討の基本データを作成する。 加えて、2020年度より開発を進めている研修プログラムを連携する教育委員会並びに都内の小学校で試行し、その有効性についてデータを集める。 さらに、2021年度に実施できなかった資質・能力育成型の教育を進める国のカリキュラム・マネジメント実践・研修にかかる調査を実施する。本調査については、2020年度に中断したフィンランドでの調査に加え、オランダ、イギリス等での実施を検討しているが、コロナウイルス感染の状況を踏まえ、適宜判断していくこととしている。 これら調査研究を進める傍ら、それまでに明らかになったことについて、日本学校教育学会や日本教師教育学会、北欧教育学会等で報告し、議論していくこととしている。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は、コロナウイルス感染拡大に伴い、国内外の訪問調査(学校、教育委員会等)が実施できなかった。そのため、交通費や人件費を中心に使用額が減少した。2021年度は、2020年度に実施できなかった訪問調査活動を活発に実施していく予定にしている。
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