新型コロナウィルスの影響で海外での調査等がしばらくできなかったが、2022年度はアメリカ・ニュージャージー州のラトガース大学との日米交流史に関する研究を進め、アメリカで出版の計画が進められている。このプロジェクトは、ラトガース大学が日本の近代化において多大な貢献をしたことに着目し、日本からの留学生受け入れ、ラトガース大学出身宣教師の日本での活動などを中心に、相互交流を明らかにしようとしている。 既に各章の担当を割り振り、日本側とアメリカ側で計15名の研究者による研究会と原稿執筆を進めた。2022年8月には東京女子大学とラトガース大学それぞれで研究会を開き、それぞれの研究テーマの報告と討議を行った。本報告者は双方の研究会に出席した。本報告者は、ラトガース大学出身の来日宣教師の業績とその歴史的意義について研究としてまとめた。 また、これまでの科研費による調査結果のまとめとして論文をまとめ、拙著『湯浅八郎の留学経験―アメリカにおけるキリスト教国際主義との出会いとその影響』(教文館)を2023年2月に出版し、研究の成果を世に公表した。本研究テーマである「日本対外学術文化交流における戦前と戦後の連続性に関する歴史的研究」との関連で言えば、同志社総長や国際基督教大学初代学長を務めた湯浅八郎は戦前のアメリカ留学や戦時下でのアメリカ滞在経験を、戦前及び戦後の日本におけるキリスト教学校教育の発展に活かしたことを同書は明らかにした。 戦後の教育交流の一例として今後の研究の足掛かりになる日蘭教育交流に関する調査も2022年9月に実施した。これまでの研究を発展させ戦後の様子を明らかにする調査や現地での教育関係者との交流ができた。
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