本研究は、新学習指導要領によって教科化された「特別の教科 道徳」(以降、道徳科と称す)において、2時間小単元を構成して実施する道徳ワークショップという新しい学習方法の特徴と成立条件を、研究授業の開発と評価を通して実証的・実践的に明らかにすることを目的とした。新教科である道徳科においては、学習指導要領の中の「内容の取扱い」を見ると、「一つの内容項目を複数の時間で扱う指導」の工夫が求められている。したがって、これからの道徳科教育においては、新たに各学期に2単元程度の2時間小単元を設定することが必須となる。しかしながら、同一内容項目・同一教材による2時間小単元を対象にした授業は、小中学校においてほとんど行われていない。そこで、本研究では、2時間小単元において特有な学び方としてワークショップ学習を取り入れ、道徳ワークショップという学習原理を新たに構成してそれを授業開発の典型にすることを通して、国内の小中学校それぞれ3校ずつに研究協力校になってもらい、道徳ワークショップという新しい学習方法を各学年1単元ずつ開発・実施し、その成果を道徳力アンケートとはがき新聞という新しい評価ツールを活用して検証した。具体的には、本研究では3年間の継続研究により、①2時間小単元の単元モデルの新規開発と類型化、②道徳ワークショップの教授法と学習方法の効果アセスメントを通した新規開発とモデル化、そして③評価ツールとしての道徳力アンケートとはがき新聞の完成と定式化による効果検証を行った。
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