研究課題/領域番号 |
19K02516
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研究機関 | 東洋英和女学院大学 |
研究代表者 |
尾崎 博美 東洋英和女学院大学, 人間科学部, 准教授 (10528590)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 創造性 / 協働性 / 「知」の様式の再構築 / 「教える―学ぶ」営み / 関係性 / ケアリング / 概念分析 / 地域貢献 |
研究実績の概要 |
2022年度は、当該科研で推進してきた文献調査・概念分析結果に対して、「協働」「ケア」「関係性」といった概念レベルからの分析をおこなった。特に、国際比較における東洋・西洋の差異と共通点を「協働」「ケア」「関係性」を軸にした分析を行い、今後成果として刊行するうえでの準備作業を進めることができた。 更に、より分析を深化させるため、国外でのフィールド調査及びインタビュー調査の準備として資料収集を行い、主としてイギリス、アメリカ、イタリアでの調査を想定した「学校外教育リソース」及び「教育エージェント」のための資料分析とフレーミング作業を行った。2021年度までのフィールド調査で収集した実践事例を基に、調査対象に対するフィードバックの準備を進めた。 具体的な成果として、分析作業の一部を『デューイ著作集2 哲学2 論理学理論の研究ほか』(東京大学出版会、2023年1月)の翻訳作業の中で示した。『道徳教育』(学文社, 2023年3月)において「道徳性の発達理論からケアの視点へ」において「発達からケアへ」の部分を分担執筆し、当該の研究課題の視点から、「社会的協働学習」の視点を踏まえた実践の必要性及び有効性を提示した。 また、2023年度の成果発表のための準備作業を進めるとともに、実際の「社会的協働学習」のモデル化を進めた。特に、2022年度の研究活動を通して、「生活を通しての学習」を形成する生活環境の実現可能性とそのモデルの構築、及び「生活環境」としての学校-家庭-地域がもつ教育的意義及び効果に関する提言や新たな知見を共有する機会のための準備を整えることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020,2021年度はともに、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、特に国外でのフィールド調査を実施することに困難が伴った。2022年度は、感染症の対策を行いながら、国内・国外を対象とする調査や資料収集を進めることができ、当初予定していた計画に基づく成果を得ることができた。 さらに、研究期間を2023年度まで延長することによって、当該研究課題が想定する調査、分析及びモデル化を十全に行うために必要となる準備作業を進めることができた。また、その一部を書籍として刊行することもでき、2023年度に本研究課題全体の成果構築のための具体的な行程を構築することができた。 以上を踏まえ、2022年度の当該研究課題はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、本科研の最終年度にあたり、これまで実施したフィールド調査・インタビュー調査のなかで更に実施が必要な部分を行うことで、調査部分の補完を行い、実践的分析とモデル構築に反映させることを計画する。さらに研究計画全体を通しての文献調査及び実践分析の結果をまとめ、「創造性」を育む「社会的協働学習」のモデル化によって得られる「知」の形について、具体的な提案を提示することを目指す。 特に、本研究課題の理論部分におけるJ.デューイ、J.R.マーティン、H.ガードナーといった基礎理論水準から検討結果を示し、フィールド調査結果分析を踏まえた上での、成果提示を目指す。加えて、「社会的協働学習実践」が構築し得る体験と思考をつなぐ生活知・実践知の体系の検討、非形式的な教授/学習における環境要因の同定を進め、「生活を通しての学習」を形成する生活環境の実現可能性に関する議論の精緻化を行う。当該研究課題の最終的な成果として、「学校外教育リソース」及び「教育エージェント」の協働による「社会的協働学習実践」を創り出す実践の提案を提示する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症拡大の影響を受け、2022年度に実施予定であった国外でのフィールド調査及び成果報告活動について、海外渡航制限及び感染症拡大を防ぐための処置として実施を延期する必要性が生じた。その結果として、当該調査及び成果報告活動を次年度の2023年度に行うこととなったため。
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