研究課題/領域番号 |
19K02517
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
吉田 亮 同志社大学, 社会学部, 教授 (00220690)
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研究分担者 |
田中 智子 京都大学, 教育学研究科, 准教授 (00379041)
物部 ひろみ 同志社大学, グローバル地域文化学部, 准教授 (10434680)
竹本 英代 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (50294484)
高橋 典史 東洋大学, 社会学部, 教授 (50633517)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 民主化 / キリスト教化 / 北アメリカ外国伝道協議会 / キリスト教事業連合委員会 / アメリカ日系人 / 強制収容 / 仏教青年会運動 |
研究実績の概要 |
竹本は、北米外国伝道協議会による日本語学校設立運動を調べ、特に1948年に設立された東京日本語学校の設立経緯を明らかにした。協議会は、48年までに500名の宣教師を日本に派遣することを決定し、宣教師の日本語学習についてはイェール大学かバークレイ大学で1年学んだ後に2年目に日本で学ぶこととし、日本語学校を建設する場所として京都を選定したこと、しかし朝鮮戦争勃発後は東京日本語学校にも支援していくこととなった。 田中は、京都帝大キリスト教講座の担当者を調べることで、戦前戦後と京都に連続的な宗教学会のネットワークが継続しており、占領期における本講座復興を可能にする人的ベースを形成していた可能性を指摘した。戦前戦後の教授陣の授業内容、在学生の研究内容のデータ化によって、同志社神学科には京都帝大教員が非常勤講師として出講したこと、京都帝大着任以前に京都の仏教系諸学校に所属した時期から出講した人物も多かった。 高橋は、常光浩然を事例にした仏教の立場からの国際的平和運動の展開を分析した。常光は戦後においては原爆の被害などのつらい戦争体験・日本仏教の戦争責任問題・仏教界の危機的状況を踏まえて国境・宗教・宗派を越えて連帯することを可能にした平和運動への積極的関与、及び仏教の近代化・国際的振興に向けた活動を展開した。 吉田は、北米外国伝道協議会の活動(1945-47)を追うことで、その目的がキリスト教による日本の民主化であったこと、対象と方法は現地主体の再建支援、リーダー育成、国民全体にキリスト教メッセージを浸透・根付かせるであったこと、他機関との関係においては教団・教育同盟・他キリスト教機関との協力、経済・人的支援を中心に広範な共同事業(指導)が進められる一方で、日本政府・SCAP・皇室から公的支援は無かったこと、成果としては日本を「前進プラン」実行のひな形として位置づけようとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
吉田、田中、竹本、高橋は順調に史料蒐集を進め、予定通りに分析と研究発表をこなしている。物部はコロナの影響で史料蒐集が遅れているが、目処が立ったので、次年度は遅れを取り戻せる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、今年度明らかにした研究成果を踏まえ、以下のテーマを掘り下げていく。吉田は北米外国伝道協議会による1948~52迄の活動を分析することで「日本の民主化」のために重点的に進めた活動とその背後にある理念を検討する。竹本は、宣教師への日本語教育が「民主化」とどのようにリンクしているのかについて、本事業に関与した宣教師に注目して分析を進める。田中は京都帝大のキリスト教講座と宗教間連携の関連性を分析する。高橋は常光を事例に戦後仏教の改革と国際平和運動との関係を明らかにしていく。物部はオーティス・ケーリに着目して大学の「民主化」のための活動を分析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナの影響で十分な史料調査ができなかったこと、研究合宿の開催がキャンセルになったために、計画通りに予算を支出できなかった。次年度においては本研究を進めていく上で不可欠なGHQ/SCAP文書の大量購入を予定しているので、予算額を使い切れる予定である。
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