研究課題/領域番号 |
19K02520
|
研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
宋 美蘭 弘前大学, 教育推進機構, 准教授 (70528314)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | オルタナティブスクール / 非主流社会を生きる若者 / AS卒業生 / 社会的困難 / キャリアパス構築 / 代案学校 / 学校から社会への移行 / 韓国 |
研究実績の概要 |
本研究は、社会的困難を生きる子ども・若者を対象に、制度の学校教育路線とは異なる学びの経路を歩んできた、韓国のオルタナティブスクール(代案学校、以下、AS)に焦点を当て、卒業後の彼・彼女らのキャリアパス構築に関する実態分析とその支援のあり方について実証的に明らかにすることを目的としている。 本科研の2年目である2020年では、本年度の研究遂行予定であったAS卒業生の卒業後の具体的な進路状況をアンケートによる定量調査及び、それらを補うための質的調査によって浮き彫りにし、彼・彼女らがキャリアパス構築のために抱えている困難とは何か、その困難の内容をAS類型別の共通点と差異を明らかにすることであった。しかし、2020年1月から新型コロナウィルスの脅威及び拡大、そしてその後の収束への見通しがたたない状況の中で、韓国現地調査の限界・困難から本年度予定の研究計画を遂行することは非常に困難な状況であった。こうした状況のために、本年度は特にこれまでの研究の一つの集大成としてまとめることにし、その研究成果として、2020年度研究成果公開促進費(図書出版)(課題番号: 20HP5206)採択により、『韓国のオルタナティブスクールー子どもの生き方を支える「多様な学びの保障」へ」』を、東京の明石書店にて2021年2月に出版刊行した。特に、本書の第8章、「『非主流社会』を生きるオルタナティブスクール卒業生の『学校』から社会への移行の困難―A さんのインタビューを手掛かりに」では、韓国において制度の学校教育路線とは異なる学びの路線を歩んできた代案学校の卒業生に焦点を当て、卒業後の移行の困難を一考察し、AS卒業生の移行問題の一断面を明らかにすることができた。本研究はこれまで取り組んできた研究の上に位置づいており、今後の本科研課題をさらに発展させるものである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年1月から新型コロナウィルスの脅威及び拡大、そしてその後の収束への見通しがたたない状況の中で、本研究の主たるフィールドである韓国の現地への調査の困難から、当初予定していた研究計画の遂行が非常に困難だったために、当初の計画より遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
今後新型コロナウィルスの収束への見通しが立たない状況の中で、2021年度においても、現地調査は大変難しい状況が予想される。本研究は、競争原理を超える学びの実現を目指し、子どもたちの生き方を支えるASの実践が果たして学んだ後の持続可能な移行性をもつものであるのか否か、AS卒業性の移行問題を詳細に検討するものである。2021年度については主に、以上の課題に関する文献調査および先行研究のレビューを行い、論文執筆(日本教育学研究及び国際学会誌への投稿など)を中心に研究を進めることにする。新型コロナの収束の状況によっては、オンラインによるAS卒業生のインタビュー調査を試み、2020年度調査を補って行き、研究を進めていくこととしたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2020年度に、AS卒業生の卒業後の具体的な進路状況をアンケートによる定量調査及び、それらを補うための質的調査によって浮き彫りにし、彼・彼女らがキャリアパス構築のために抱えている困難とは何か、その困難の具体的な内容をAS類型別の共通点と差異を明らかにすることであったが、新型コロナウィルスの脅威及び拡大、そしてその後の収束への見通しがたたない状況の中で、韓国現地調査の限界・困難から本年度予定の研究計画を遂行することは非常に困難な状況であったために、未使用額が生じた。 以上の理由により、2020年度の研究計画を次年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てることとしたい。
|