研究課題/領域番号 |
19K02522
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
野沢 恵美子 中央大学, 法学部, 准教授 (70755777)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 女性の教育 / 教育観 / ジェンダー・イデオロギー / 女性の雇用 / 社会変化 / インド農村 |
研究実績の概要 |
本研究では、教育を手がかりとしたインド農村の女性の散発的な行動が、地域のジェンダー・ダイナミクスに影響を及ぼす様態を理解し、教育効果の複雑性を理論化し、ジェンダー平等のための施策を導き出すことだが、その一環として、2019年7月18日にオランダのライデンで開催されたInternational Convention of Asia Scholars 11にて、'The Dynamics of “Good Education” in South Asia: Experiences among Children, Parents, and Childcare Workers'としてパネル発表を行った。本パネルでは、それぞれインド、デリーのスラムで幼児教育について、ネパールの農村の低収入家庭の母親と子どもの教育観、ネパール、カトゥウマンドゥ近郊の中流家庭の女性の教育観について調査を行っている研究者たちと共に発表を行い、南アジア、特にインドとネパールの周縁化された人々の持つ教育観、教育熱について比較考察を行った。筆者は2018年夏に行ったインドビハール州での現地調査の結果をもとに 'Beyond a Placeholder? : Education, Aspirations, and Gender Ideology in the Transitional Society'として発表を行った。そこでは、従来女性の教育は、「次世代へつなぐもの」母として「次世代をより良く育成するために必要なもの」と考えられがちであったが、男性(夫)の雇用が流動化している農村では、女性(妻)の現金収入への期待が高まり、「女子教育」「女性の教育」の概念が変化しつつある可能性について考察を行った。 また、2019年9月から2020年3月にかけては、2018年夏に行ったインタビューのうち、データ分析の終わっていない分について、英語、ヒンディー語、マガヒー語の3言語を解するインド人の翻訳者に依頼し、文字起こしと通訳、翻訳の確認を行い、データ分析のための準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
International Convention of Asia Scholars 11の学会での発表と、データの整理は順調に行えたが、2020年2-3月に予定していたインド、ビハール州の農村での現地調査は、新型コロナウイルス感染症の国際的な拡大のため、実施を見送らざるを得なかった。また、2020年3月に発表を予定していたアメリカ合衆国マイアミでのComparative and International Education Society 2020 in Miami も、新型コロナウイルス感染症の影響で、対面による発表が全て中止となったため、発表することができなかった。 インドビハール州の町中に住む研究協力者とは、インターネットを通じて連絡を取っているが、インタビュー参加者である農村に住む女性たちのほとんどは、インターネットやスマートフォンへのアクセスがないため、Skypeやオンライン会議システムなどの代替のツールを使ってのインタビューを行うことは不可能である。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度に行えなかった現地調査を、可能であれば、2020年8月か2021年3月に実施したいところだが、新型コロナウイルス感染症の世界的な収束が見られない限りは、インドへの入国、医療体制の脆弱な農村の訪問も困難であると思われる。現地調査を2021年度以降に延期をするか、農村でのインタビュー人数を縮小するか、大幅な計画変更の検討をしなければならないかもしれないと危惧している。 ついては、人と対面が必要だったり、海外での現地調査が必要な研究については、研究期間の延長や、研究計画の変更がどの程度可能なのか、方針をお示しいただけると大変ありがたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年2-3月に予定していたインド・ビハール州での現地調査と、2020年3月に発表する予定だったComparative and International Education Society 2020 in Miami(アクセプト済み)が、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行により中止になったため、キャンセル料以外の渡航費が使用されなかったため。 2020年度に、インドでの現地調査で使用したいと思っているが、新型コロナウイルス感染症の世界的な収束が無い限り、渡航が困難と思われる。計画の修正などの方針を示していただけると大変ありがたい。
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備考 |
中央大学のChuo Onlineにおいて、SDGsとジェンダー平等に関して、インドの農村での研究結果をもとに報告を行った。日本語と英語のページは、同じ内容の翻訳(日本語がオリジナルで、英語版はそこからの翻訳)。
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