研究課題/領域番号 |
19K02522
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
野沢 恵美子 中央大学, 法学部, 准教授 (70755777)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 教育 / ジェンダー / インド / 農村 |
研究実績の概要 |
2020年度より京都大学名誉教授 押川文子先生と作成していた映像による研究成果「インド農村における学校教育~ビハール州の20年とタミール・ナードゥ州:インド農村部の学校教育―この20年間でどのように変化したのか?」が完成し、ほかの研究者による成果映像と共に、東京大学南アジア研究センターのウェブサイトに公開された(http://www.tindas.c.u-tokyo.ac.jp/outcome.html)。 また、東京大学拠点南アジア地域研究TINDASの構成員である小原優貴氏、茶谷智之氏、安念真衣子氏と共に書籍『教育からみる南アジア社会―交錯する機会と苦悩』を編集・出版した。押川文子先生を監修にお招きした本著では、国内の様々な大学や研究機関で活躍する若手研究者たちが、南アジアの教育を巡る実情や様々な課題について民族誌的な視点から具体的に描き出した。筆者は第III部 言語―階層・国家・グローバリゼーション―の編集を主に担当し、また「第31章 インドにおけるジェンダー規範と農村の女性の教育」を執筆した。本章では、本研究課題や関連する研究で得られた知見をもとに、インド・ビハール州の貧しい農村地域でのジェンダー規範が女性教育の足かせとなってきたこと、またその規範が変容している現代では女子教育が普及し、非正規ながら若い女性の就労機会も増えていることを報告している。農村での若い男性の失業や非正規雇用の広がりから、妻である女性の収入に頼る家庭も現れてきており、ジェンダー規範の揺らぎが家族関係や女性への期待、負担に変化を及ぼしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年からの新型コロナウイルス感染症パンデミックにより、国境を越えた移動が大幅に制限され、インドでの現地調査を実施できていないため。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症が収まり、国境を越えた移動や研究調査が可能になるまでの間、比較研究として、本研究課題の一部として女性のモビリティと家族関係の変化について、教育・就労・移動に焦点を当て、日本国内に住むインド出身の女性教育者を対象に質的研究を実施する。現在中央大学研究倫理審査委員会に申請書類を提出し、審査結果を待っている。審査が通り次第、2022年7月中を目途に約50名の女性教育者への質問紙調査を開始し、その後8-10月頃に5-8名へのインタビュー調査を実施する予定である。調査結果は2023年3月を目途に論文にまとめる予定である。 またインドビハール州の初等教育の教科書分析も引き続き行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症拡大により、国境を越えた移動が大幅に制限され、予定していたインドでの現地調査を実施できなかったため。 2022年度は、日本国内で実施でき、将来のインドでの現地調査結果と比較も可能なデータ収集として、日本国内に住むインド出身の女性教育者の教育、移動とキャリアパスに関する質的調査を実施する。現在、中央大学研究倫理審査委員会に申請書類を提出し、審査結果を待っている。審査が通り次第、約50名への質問紙調査を開始し、8-10月頃に5-8名へのインタビュー調査を実施する予定である。調査結果は2023年3月を目途に論文にまとめる予定である。またインドビハール州の初等教育教科書の分析も引き続き行う。
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