研究課題/領域番号 |
19K02522
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
野沢 恵美子 中央大学, 法学部, 准教授 (70755777)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 女子教育 / 南アジア / ジェンダー規範 / 性役割分担 |
研究実績の概要 |
2023年8-9月にコロナ禍以降初めて、インドビハール州においてフィールド調査を行った。ガヤー県在住の農村出身の女性たち16名にインタビューし、農村における女性の社会経済参画を支援するNGO団体の活動の非参与観察、および、以前の調査(2001年、2010年、2018年)で会った女性たちへのフォローアップ調査を実施した。インタビュー内容は録音し、日本に帰国後、ヒンディー語と英語に堪能なインドの別の州出身の女性の助けを借りて文字起こしと英語への翻訳を行い、おおまかな分析を行った。 この分析からは、2010年ごろからビハール州の農村の社会経済状況が大きく変化し始め、道路や灌漑施設、電気通信施設の敷設、耐久消費財や通信手段の広まりなどがうかがわれた。特に通信手段は急速に普及しており、以前は男性家族に管理されていた携帯電話を、妻や娘が手にし、遠く離れた家族や親類と自由に交流を楽しむ姿が見られた。また女子教育においては、女児の就学率、女子生徒の中等教育への進学が村の人々の間でも当然のこと、好ましいこととの受け止めが広がり、女子教育への認識がシフトしていることも示唆された。 女子教育に関する認識が一変している一方で、農村での家族や家庭生活におけるジェンダー規範にはあまり変化が見られず、親による若い女性のセクシュアリティーの管理や、家事労働における性役割分担は、女性たちの日常生活や行動を厳しく規定していることがわかった。 この分析結果は、本研究の目的としている「教育を契機とした、農村における家族関係やジェンダー・イデオロギーの変容」の理解のために、一定のヒントを与えてくれるものである。しかしインタビューを行った女性たちの年齢や社会経済階層の幅、さらには変化の背景に関する知識の収集はまだ十分とは言えず、引き続き現地調査を行う必要性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ禍により海外渡航が制限されたため。当初の予定では、2023年度末までの研究期間内に複数回フィールド調査をし、インドの研究者とも交流をする予定だったが、これまで1度しか実施することができていない。
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今後の研究の推進方策 |
上記の分析結果について、2024年7-8月の国際学会、ICAS 13 にてパネル "Changing Drastically and Yet the Same?: Examining Growth, Transformation, Intransigence, and Continuity in Everyday Life in South Asia" の一部として発表する予定である。そこでのフィードバックを反映させて論文としてまとめ、学会誌での発表を目指す。
また、2024年9月には、再びインドビハール州を訪れて、フォローアップ調査を実施する予定である。本調査では、2010年、2018年にインタビューに答えてくれた女性に会うことに加えて新規の参加者を募るほか、農村の男性や、教育関係者数人にもインタビューを行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度(2022年度)まで、コロナ禍のため予算の執行がほとんどできていなかったため。
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