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2019 年度 実施状況報告書

理系女性研究者のキャリアと健康ー無意識バイアスの影響評価ー

研究課題

研究課題/領域番号 19K02523
研究機関電気通信大学

研究代表者

鶴ヶ野 しのぶ  電気通信大学, 保健管理センター, 准教授 (10359630)

研究分担者 井上 まり子  帝京大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (20508048)
錦谷 まりこ  九州大学, 持続可能な社会のための決断科学センター, 准教授 (40327333)
矢野 栄二  帝京大学, 公私立大学の部局等, 教授 (50114690)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード無意識バイアス / 女性研究者支援 / 多様な働きかた / ダイバーシティ / 健康影響 / 非正規雇用
研究実績の概要

本研究は、理工系分野での女性研究者における「無意識のバイアス」が、キャリア形成や健康へ及ぼす影響を明らかにすることを目的とする。本研究により、理工系分野の女性研究者の増加を阻む社会的要因について評価することで、ダイバーシティ(多様な人材の登用)を進めるための実効的な対策に資することが全体構想である。

初年度は、女性研究者の就労実態や、研究現場での「無意識のジェンダーバイアス」に関する文献的な情報収集を行い、先行研究の分類と結果の要約を行った。わが国では無意識バイアスは「ダイバーシティ政策」の導入に伴って注目された経緯があるため、学術論文以外の出版物、政府刊行物(白書、調査報告等)なども含めた資料検索を行った。これらより、女性研究者の就労や昇進等においては男性のみならず女性自身でも「女性はリーダーシップを取りたがらない」「子育て中の女性には責任ある地位を任せることは重荷となる」などの認識が強い可能性があることが示唆されたが、いっぽう、それらが健康に及ぼす影響については、初年度のレビューのみでは明らかなものは見いだせなかった。
わが国における無意識バイアスに関する文献資料はいまだ少なく、次年度以降も学術研究をはじめとする文献調査を継続する必要があると思われた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

初年度は、次年度以降の量的・質的研究を行うための先行研究のレビューを行ったが、この分野に関する調査資料は十分ではなく、特に女性割合の少ない理工系学術分野に関する情報が少なく、十分な検討ができたとは言えない状況である。

その理由としては、「女性労働者に対する無意識バイアス」という概念自体は以前からあるとしても、実際にそれらを可視化し、改善すべきアジェンダとして取り上げようとする動きは始まったばかりであるという事情が挙げられる。従来、女性労働者支援の主体は妊娠・出産に伴う休暇の保証や保育施設の整備などの子育て支援であり、それらが必要であることは論を待たないとしても、「女性研究者への無意識バイアスを改善する」という点においていかなる効果があるのか、それらによりキャリア構築(昇進等)が有意に改善されているのか、等について引き続き資料をもとに調査する必要があると思われる。

今後の研究の推進方策

今年度以降も、先行研究のレビューを継続しつつ、理工系分野での女性研究者の無意識バイアスに関する実証研究(量的・質的研究)を進める。
また、理工系の科学技術専門職が運営する男女共同参画学協会が実施した大規模アンケートの複数年データを用いて、研究者のキャリアパス(昇進)に関連する要因について無意識バイアスの影響を含めた分析を行う予定である。
さらに、同協会の加盟学会員で協力が得られた研究者へインタビュー調査(半構造化面接)を行うための質問票を作成する予定である。

次年度使用額が生じた理由

初年度の研究実施状況が、調査文献の収集が難しいことで予定よりもやや遅れている。そのため当初予定したより執行額が少なくなり、当該助成金が生じたものである。それらについては翌年度分の助成金として請求し、研究課題を継続するために用いる。

具体的な研究遂行予定としては、先行研究のレビューの継続および、理工系の学術専門職による既存アンケートのデータベースの解析(次年度は解析のためのデータ取得や倫理委員会への申請等が主体となる予定である)、および理工系研究者を対象としたインタビュー(次年度はインタビューのための質問紙の作成や倫理委員会への申請等を含む)を予定している。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Toward a Declaration to Address Japan's Aging Society with Low Birth Rate: Summary of the Japanese Society for Hygiene's Working Group on Academic Research Strategy against an Aging Society with Low Birth Rate2019

    • 著者名/発表者名
      Nomura K, Karita K, Araki A, Nishioka E, Muto G, Iwai-Shimada M, Nishikitani M, Inoue M, Tsurugano S, Kitano N, Tsuji M, Iijima S, Ueda K, Kamijima M, Yamagata Z, Sakata K, Iki M, Yanagisawa H, Kato M, Yokoyama K, Koizumi A, Otsuki T.
    • 雑誌名

      Environ Health Prev Med.

      巻: 24 ページ: 1-6

    • DOI

      10.1186/s12199-019-0768-x

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Toward a Declaration to Address Japan's Aging Society with Low Birth Rate: Summary of the Japanese Society for Hygiene's Working Group on Academic Research Strategy against an Aging Society with Low Birth Rate2019

    • 著者名/発表者名
      Nomura K, Karita K, Araki A, Nishioka E, Muto G, Iwai-Shimada M, Nishikitani M, Inoue M, Tsurugano S, Kitano N, Tsuji M, Iijima S, Ueda K, Kamijima M, Yamagata Z, Sakata K, Iki M, Yanagisawa H, Kato M, Yokoyama K, Koizumi A, Otsuki T.
    • 雑誌名

      Nihon Eiseigaku Zasshi

      巻: 74 ページ: 1-5

    • DOI

      doi: 10.1265/jjh.18034.

    • 査読あり
  • [学会発表] 不安定就労世帯 健康と幸福度.2019

    • 著者名/発表者名
      錦谷まりこ, 井上まり子, 鶴ケ野しのぶ, 矢野栄二.
    • 学会等名
      第89回日本衛生学会学術総会
  • [学会発表] 非正規研究者の健康問題と就労-大学非常勤講師アンケートから-2019

    • 著者名/発表者名
      鶴ヶ野しのぶ、錦谷まりこ、井上まり子、矢野栄二
    • 学会等名
      第92回日本産業衛生学会

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公開日: 2021-01-27  

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