研究課題/領域番号 |
19K02526
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
越智 康詞 信州大学, 学術研究院教育学系, 教授 (80242105)
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研究分担者 |
紅林 伸幸 常葉大学, 教育学部, 教授 (40262068)
川村 光 関西国際大学, 教育学部, 教授 (50452230)
長谷川 哲也 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (90631854)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 教師教育 / 教職大学院 / 実践的研究 / 知の再編 / 教員の資質 |
研究実績の概要 |
本研究は、教職大学院における実践研究、あるいは研究的実践のもつ教育・社会効果について理論的・実証的に検討するものである。本研究の特徴は「研究」という営みについて「研究成果の産出」という狭い観点から解放し、研究にまつわる技法・構え・関係性からなる多様な要素の結合体として捉えることにある。このような観点から、教職大学院における実践的研究の意義や可能性を目に見える形でとりだし、そのメリットを拡張していくことができるようになる。本研究全体では、まず<研究=知>に対する社会・行政・現場のニーズを踏まえた上で、新たに構築された教職大学院のカリキュラムや教育指導の内実(その中への研究的要素の組み込み方・活かし方)について多様な観点から検討し、最終的には実践的研究型の教職大学院モデルの提案を目指している。本年度は、多様な教師教育の現場でどのような変化が生じてきているか、その中で研究的な営みがいかに実践され、効果をもたらしているのかの事例研究を行った。その結果、教職大学院の生徒である教師たちが参加する実践研究報告のシンポジウムの空間自体が、自身の実践知に高めようと主体的な問題関心を持って集まり、お互いを尊重し合うフラットな関係性を生み出すなど、そこで研究のコミュニケーションが実現し互いに高めあう効果が見られる様子や、常葉大学において、「学校等における実習」を「AR(アクション・リサーチ)」に名称変更し、研究開発的に実践研究的な実習を行い、高い成果を挙げている様子などが観察できた。次年度以降は、教職大学院と共に新たに生成されつつあるこうした研究と教育を統合した実践例を蓄積する一方、より一般的な傾向やその効果についても調査・分析を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実践事例をある程度、収集することができたと同時に、高度な実践を行っている実践家や指導者にインタビューを行うことができた。集められた事例は、予想以上の効果的な内容を含んでおり、大変参考になった。今回は研究の初年度であり、資料やデータの収集に奔走し、なかなか成果をまとめるのは難しいと見込んでいたにもかかわらず、収集した事例について分析した報告書をまとめ、提出することができ、今後の研究の見通しを得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度もインタビュー調査や実践観察を行い、一方では探索的な方法で研究内容を深めつつ、より一般的な調査に向けて準備し、可能であれば実施する予定である。残念ながら、現状ではコロナの影響で新しい事例調査の探索は進んでいない。緊急事態も解除されつつあるので、これから予定を組みなおし、研究を進めていきたい。また、オンラインで教職大学院に対するアンケート調査を作成し配布するなどの方法も検討中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナの影響で予定した調査が滞った。付随して物品の購入も停止している。次年度使用額は、調査にかかる旅費や物品の購入等に使用する計画である。令和2年度請求額は当初の予定通り、旅費や物品費として使用する計画である。
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